中間貯蔵共用、関電が「選択肢」 反発強めるむつ市

林義則
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 関西電力が今月12日、青森県むつ市にある使用済み核燃料中間貯蔵施設について「電力各社で共同利用する案への参画も選択肢の一つ」との考えを福井県に伝えたことをめぐり、市が反発の姿勢を強めている。13日と17日に「共用化について認めた事実も、議論を開始している事実もない」などとする声明を公表。宮下宗一郎市長は26日の定例記者会見で「自分たちの都合を優先して民意を踏みにじっている」と改めて関電を批判した。

 電気事業連合会は昨年12月、東京電力ホールディングスと日本原子力発電が出資するむつ市の中間貯蔵施設について、「電力各社による共同利用の検討に着手したい」との方針を発表した。福井県内には関西電力美浜原発3号機など運転開始から40年を超える老朽原発が3基あり、関電はこれらの再稼働をめざしているが、再稼働の是非を検討する前提として、原発から出る使用済み核燃料をいったん貯蔵する県外の候補地を提示するよう福井県が求めていることが背景にあるとされる。

 宮下市長は共同利用の検討について説明するため市を訪れた電事連幹部に対し、「共用化ありきの議論はできない」と伝えていた。一方、関電の森本孝社長は共用化の検討について「積極的に参画したい」との意向を示し、今月12日には福井県の杉本達治知事に対して、共同利用への参画を「選択肢の一つ」と伝えた。資源エネルギー庁の保坂伸長官も同席し、「むつ市長に(経産省の考え方を)早急に説明する」と述べた。

 一連の動きが報道されると、むつ市は「共用化が選択肢の一つとなるようなことは、あり得ない」「『共用する案』が既成事実的に報じられている。案は存在すらしていない」などとする声明を立て続けに発表。市によると、25日には中間貯蔵施設に出資する東電に、関電への抗議の意を改めて伝達するよう申し入れたという。

 むつ市の宮下市長は26日の会見で「私たちの意思とは違うところで報道が先行している。立場を明確にするためだった」と説明した。

 中間貯蔵施設の誘致が、過去の市長選などの選挙で争点になってきたことや、市と県が協力して東電・原電との立地協定に至ったことをあげ、「その経緯の重みがある。その価値を覆そうとしている。しかもむつ市と違う場所で関係ない人が決めようとしている」と述べ、関電の動きを強く批判。12月の訪問以降、電事連や国から共用化について協議の申し入れなどは「ない」と述べた。東電を通じて関電に抗議したことについては「関電は市といっさい関係ない。(むつ市の側から)アクションを起こせば、議論が始まるとの誤解を与える」と説明した。(林義則)