フェンディ 新デザイナーでモード前面 上質な毛皮も

ファッション

編集委員・高橋牧子
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 ローマを本拠地とするブランド、フェンディは、注目デザイナーのキム・ジョーンズを新しいアーティスティック・ディレクターに迎えた初のレディース・プレタポルテ作品を映像で披露した。

 ジョーンズは、フェンディが属する仏巨大ブランドグループ、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)傘下のルイ・ヴィトンやディオール・オムなどのメンズを担当して知られたデザイナー。これまでデザインを手掛けていた創業家のシルヴィア・フェンディによるナチュラルでさりげないフェミニンさとは打って変わって、モード感のあるイタリアン・エレガンスを前面に押し出した。

 コレクションの着想源は、フェンディ家の5人姉妹のワードローブ。洗い加工を施したミンクのベルスリーブのコートやシルク風のつやがあるシャツ、ウールのピンストライプの仕事着だという。

 日常着がヒントとはいえ、作品はとてもラグジュアリー。毛皮の凝った細工が得意なブランドの伝統技を、存分に生かしたようなデザインが並んだ。何度もシアリング(毛を刈ること)をして毛の分量を抑えたシャツジャケットや、映像でも伝わる、いかにも上質なぬめりのある毛皮のミリタリーコートなど。

 作品には、ミリタリー調などのマスキュリン調と、逆にランジェリーを連想させるフェミニン調の二極の要素が強調されていた。秋冬なのに、肌を見せるデザインも多い。ニットのブラとタイトスカートのセットアップなどはストリートスタイルに強いジョーンズらしいデザイン。

 フェンディは、共同でデザインしていた巨匠カール・ラガーフェルドが2年前に急逝し、シルヴィア・フェンディが1人でデザインを担ってきた。ラガーフェルドの新奇なアイデアはないものの、何げない中にもちょっとした素材感や量感などに、生活実感に基づいた繊細な息づかいを感じさせて、女性ファンを増やしてきた。そうした流れがこのデザイナー交代で、どのように変わっていくのかも興味深い。(編集委員・高橋牧子)