新型コロナウイルスに感染した軽症と中等症患者を受け入れる病院で、回復した後も転院先が見つからず、コロナ病棟で家族にみとられることのないまま亡くなった患者がいた。感染防止のため遺体を納体袋に入れて棺(ひつぎ)に納めた看護師は、家族を死に目に会わせてあげられなかったことに負い目を感じ、無力感にさいなまれたという。コロナ禍での職場環境の大きな変化が様々な葛藤を生み、看護師の心をむしばんでいる。(小林太一、堀之内健史、山中由睦)
1月上旬の明け方、堺市の近畿中央呼吸器センターで、80代の女性患者が息を引き取った。担当の男性看護師(29)は緊急入院に対応していたが、患者の状態を示すモニター上での異変に気づき、急いで駆けつけたが、その後、死亡が確認された。
女性をみとった後、ベッドの上に透明な納体袋が用意された。着替えはせず、寝間着姿のまま袋に入れた。体に密着させるようにして空気を抜いていった。
両手に力を込めながら、「ごめ…
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