「あんた捨てられた?」 トカゲ、新たな家族得て越冬中

里見稔
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 【長野】落とし物として届けられた1匹のトカゲが、新たな「すみか」を得てぬくぬく越冬中だ。

 昨年9月末、安曇野市堀金支所に、住民が虫かごに入ったトカゲを持ち込んだ。頭の先からしっぽまで45センチほどで、窮屈そうに体を「Uの字」に曲げている。全身がよろいのような硬い皮膚に覆われ、ところどころとげとげしい。どう見ても外来種だ。

 「ペット トカゲ 大きい」

 窓口担当の財津尚子さん(50)が、見たままをインターネットで検索するとすぐにわかった。「フトアゴヒゲトカゲ」。豪州に生息し、ペットとして日本にも輸入されているらしい。

 財津さんはひとまず自宅で保護し、地元の新聞に記事をのせてもらったり、動物愛好家の集まりで聞きこみをしたりして飼い主を探した。警察にも届け出た。が、見つからない。

 「もしかしてあんた、捨てられてしまったのかしら?」。そう思ったとたん、愛称は「ステちゃん」とひらめいた。けど、なんだか直接的すぎる。というわけで仮の名は「ステファニーさん」にした。

 財津さんは小さい頃から大の動物好き。家に迷い込んだツバメやスズメを世話したこともあった。その影響か、中学2年生の息子と夫も歓迎ムード。ネットで調べて寒さに弱いとわかると、ホームセンターで毛布を買い、えさの類いも一式そろえた。

 飼い主に元気な姿で返してあげたい、その一心で飼っていたのだが、飼い続けるうちに愛情が生まれた。頭を優しくなでると気持ちよさそうに目をつむってくれる。トカゲは喜怒哀楽を感じないとも言われるが、見つめ合うと「懐いてくれてるのかな」と想像もふくらんだ。

 先月末、ステファニーは財津家の一員になった。遺失物の保管期限までに飼い主が現れなかったからだ。財津さんはステファニーを正式な名前にした。頭をなでながら、「ステちゃん、これからも面倒見てあげるから長生きしてね」。(里見稔)