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 28日のびわ湖毎日マラソンで、25歳の鈴木健吾(富士通)が2時間4分56秒の日本新記録で優勝した。従来の日本記録は大迫傑(ナイキ)の2時間5分29秒で、日本選手が4分台で走ったのも初めて。

 周囲が「やめろ」と言うまで走り続ける男。それが鈴木健吾だ。

 愛媛県出身。父親が長距離選手だった影響で小学6年の時から陸上を始める。宇和島東高で全国高校駅伝にも出場した。2017年、神奈川大3年の箱根駅伝2区で区間賞を獲得し、4年の全日本大学駅伝ではアンカーとして先行する東海大を逆転して優勝のテープを切った。18年の東京で初マラソンに挑んだ(2時間10分21秒)。

 神奈川大の大後栄治監督が当時を振り返る。「合宿中は昼食時にも夕食時にも姿がない。あいつはどこにいるんだ、と思っていると走っている。朝、昼、夕と1日3回、2時間近く走ることもあった」。また、満足のいく練習ができないと「わんわん声を上げて」泣き出すほどの選手だった。

 富士通に入ってからはけがに泣いた。大腿(だいたい)骨の疲労骨折や股関節、ひざなどを次々に痛め、入社1年目の18年はほとんどレースに出られなかった。そこからウェートトレーニングで体幹などを鍛えて克服。163センチ、48キロと小柄ながら、ピッチを生かした走りで昨季は1万メートルでも27分台を出すなどスピードもついてきた。

 「とにかく走るのが好き。好きなことを仕事にしている間は楽しくやっていきたい」。鈴木は競技生活をそう語る。大後監督も富士通の福嶋監督も口をそろえて「暑さに強い」。夏場に開催される世界大会にうってつけの選手だ。(堀川貴弘)