交流深め知るALS患者 香川大医学部サークル

石川友恵
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 全身の筋肉が徐々に衰えていく難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)。香川大医学部ボランティアサークルでは、在宅で看護をうける患者を訪ねて交流し、外出時の付き添いなどの活動に取り組んでいる。

 昨年12月、香川県三木町の医学部キャンパス内に学生たちが集まった。新型コロナウイルスの影響で、リモートでの対面。患者同士の交流や外出が制限されるなか、孤立感を減らしたいと学生が企画した。

 サンタクロースの帽子をかぶった学生が、タブレット端末を通じて患者の岩本豊さん(66)に近況を伝えた。白板に描いたクリスマスのイラストも見せ、季節を感じられるようにした。

 豊さんは人工呼吸器を装着しており、普段は50音や数字が書かれた文字盤に視線を送って対話をしているが、リモートでは意思の疎通が難しい。そばにいる妻の仁美さん(64)に思いを伝えてもらい、○×形式のクイズにして分かりやすくするなど、楽しめるようにした。

 ボランティアは2019年から始め、2カ月に1回程度の頻度で豊さん宅を訪問している。お遍路にも同行。五感を刺激することを意識し、ピアノの演奏や歌を披露した。ALSは五感や記憶、知性に関係する神経には影響がないとされ、心地よい程度の刺激を与えて脳の機能の活性化を図っているという。

 4年の忠津(ただつ)吏湖(りこ)さん(22)は最初は非言語でのコミュニケーションが難しいと感じた。「目を見てあいさつするよう指摘をうけた。目の動きを見ることで、ちょっとした表情の変化に気づけるようになった」と、一方的に話すだけで終わらないよう意識している。

 コロナ禍でサークル活動はしばらくできなかったが、学生らはその間にタブレット端末などの機材をそろえた。

 日本ALS協会香川県支部長を務める豊さんは「学生たちとは1年ぶりに顔を合わせ、旧友に会えたような喜びがあった。ただ、応答に間が空き、もどかしさも感じた。そういった現実を踏まえつつ互いに工夫したい」という。

 学生たちにとっては在宅医療について学ぶ機会にもなる。サークルの代表で4年の川上聖加(きよか)さん(22)は「在宅医療に切り替える流れがあるなかで、自分らしくどうやって生活するのか、家族との関わり方などを実際に見ることで発見がある」と話す。

 顧問で医学部看護学科の清水裕子教授(62)も「患者さんの生活の状態を知ることができ、学生にとって有益な機会だ」と話す。今後は他の患者らにも参加してもらい、交流を広げていきたいという。(石川友恵)

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 香川大医学部ボランティアサークル 2018年に設立。現在は医学部看護学科の学生10人が所属する。当初はカンボジアへ物資の支援や現地の小学校での衛生指導もした。リモート交流会は香川大の「夢チャレンジプロジェクト」に選ばれ、大学からの支援をうけている。