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 【新潟】長岡市にある大口れんこん生産組合の徳坂明仁副組合長が「簡単で、しかもうまい」と言う“焼きレンコン”。作ってもらった。

 まずは皮をむいてゆでる。薄いクリーム色が少し青みがかった透明感のある白になれば、水で冷やして下処理は終わり。あとは厚さ1センチほどに切り、しょうゆを塗りながらコンロで両面を軽く焼くだけ。香ばしい匂いが食欲を誘う。「シャリシャリと歯ごたえがあって、ほんのり甘いでしょ。それが特徴なんです」

 薄くスライスして、ドレッシングをかければサラダに。キムチもうまかった。

 「正月の縁起物としてしか食べない人がいますが、もったいない」。ひき肉とみじん切りのレンコンを混ぜ、すりおろしをつなぎにする。そのまま焼けばハンバーグ、皮に包めばギョーザだ。徳坂さんは「普段使いできる野菜。しかも、どのレンコンよりもおいしい」。

 国道8号を北上して見附市に近づくと、蓮田が道の両脇に広がる。大口れんこんは長岡市大口など中之島地域の上通地区で作られている。

 夏場には青々とした大きな葉が茂り、白やピンクの花が咲く蓮田を1月下旬に訪れた。見渡す限り厚い雪に覆われていたが、収穫中の蓮田には雪がない。「地下水を入れて、雪を溶かして作業します」(徳坂さん)。胴長を着て蓮田に入る。水深は10~15センチで、その下は泥。ずぶずぶとひざぐらいまで沈んでいく。「急ぐとベトに足を取られて転ぶよ。小幅でゆっくり歩いて」とアドバイスをくれた。ベトとは泥のことだ。

 収穫はほぼ手作業。水圧で泥を軟らかくしながら、自動で進む機械の後ろで泥の中を探る。見つけると、手持ちのホースの水をレンコンの下に当て、泥から掘り出す。途中で折れると商品にならない。大胆さと慎重さが必要だ。

 太くて長い部分を「親」と呼ぶ。親から枝分かれした部分は「孫」、先端にあって先がとがっているのは「芽」。店頭に並ぶときは、それぞれM、2S、3Sというサイズで表示される。「親は味も歯ごたえもしっかりしていて、どんな料理にも使える。孫や芽は親よりも軟らかくサラダに合う。なぜか『子』と呼ぶものはありません」

 大口れんこんの外見上の特徴は表皮の茶色い「渋」だ。地下水の鉄分が、レンコンが持つ酸素と反応して酸化鉄となり、沈着した。漂白せずに出荷している。

 JAにいがた南蒲南営農センター(長岡市)の長谷川耐一課長代理は「外皮が白いものを好む人もいますが、食べるときは皮をむく。他の地域のレンコンは煮ると黒っぽく変色しますが、検査機関に依頼した実験で、大口れんこんは長く変色しないことが確かめられています。料理として白く保ちたいなら、だんぜんこっち」。

 出荷量は平年1200トン。インド原産とされるレンコンは天候や日照に収穫量が大きく左右されるといい、前年度は970トンだった。売り上げは平年並みの4億8千万円。「市場の引き合いが強いため、収量が少ないと単価が上がります」。

 それなら収量を増やせば良いと思うのだが、そう簡単ではない。生産組合の農家数は69軒で、平均年齢は65歳を超える。「3分の1は後継者が決まってない。80歳を過ぎて働いている人もいる。収量を倍にしても売り切る自信はあるのですが、現在の作付面積72ヘクタールを落とさないのがやっと」と長谷川さん。

 現在、生産組合が取り組んでいるのが担い手育成。農家で指導を受けながら働いて、2年後に独立する。来年度は初めて2人が独立する予定。さらに4人が研修中だという。「大口れんこんは他の作物より手がかからず、経済的にも専業農家として食べていけるのが魅力。仲間を増やしていきたい」(徳坂さん)

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 大口れんこん 現在の長岡市大口周辺は石油や天然ガスが噴出する沼地で、稲作に不向きだった。地下水に栄養素が多く、粘土状の土壌がレンコン栽培に適していると、大正12(1923)年に刈羽村から種蓮を導入して栽培を始めた。それが今も晩生(おくて)品種として作られているダルマ。11月~3月末までが最盛期。8~10月は早生(わせ)品種のエノモトを収穫している。県内小売店で売られるレンコンの7~8割を占める。JAにいがた南蒲の直販サイト(http://www.nanchoku.com/別ウインドウで開きます)での価格は4キロ3千円。(伊丹和弘

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