10年「長かった」 岩手のプレハブ仮設、最後の退去者

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中山直樹、東野真和
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 東日本大震災で被災し、岩手県陸前高田市内のプレハブ仮設住宅で暮らしていた最後の家族が30日、市に鍵を渡して退去した。昨年4月の宮城県に続き、岩手県でも応急の仮設住宅がすべて解消された。

 工業団地の空き地に立つ「滝の里仮設団地」。岩手県内で最後まで被災者が住んでいたプレハブ仮設住宅だ。86戸あるが、自宅を再建したり災害公営住宅へ転居したりして、2月末時点の入居者は7世帯19人になっていた。

 「10年間、長かった。いろいろ大変でした」。パート従業員の村上サルバションさん(49)は今月27日、引っ越しの最後の片づけをしながら振り返った。結露がひどく、荷物を押し入れから出すと奥の壁はカビだらけになっていた。

 10年前、市内の自宅を津波で流され、夫の幸二さんと長男の洋海(ひろみ)さん(17)の3人で住み始めた。間取りは4畳半2室と台所。洋海さんが成長し、家財道具も増えると、さらに手狭になった。自宅を再建しようにも、震災前に住んでいた場所は土地の区画整理が終わっていなかった。

 自宅を再建しようと市内で土地を探し、契約寸前だった2017年、幸二さんが脳梗塞(こうそく)で亡くなった。57歳だった。悲しむ暇もなく、スーパーで働きながら洋海さんを育てた。「息子がいるから、がんばれた」

 震災前に住んでいた土地の区…

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