官僚群れて質問取り→オンライン 「密」回避へ試行錯誤

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山下龍一、小林豪 松山尚幹、大久保貴裕
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 新型コロナウイルスによって、独特の慣習が残る国会の風景も変わりつつある。議員の質問内容を官僚が事前に聞き取る「質問取り」は対面をやめ、オンラインで行う動きが広がる。ただ、伝統的な慣例や規則を一気にオンラインに切り替えるのは簡単でない。永田町の試行錯誤が続く。

 11都府県に緊急事態宣言が出ていた1月下旬。国民民主党玉木雄一郎代表(51)は議員会館の自室で、タブレットに向かって話し出した。画面には農水省官房長が映る。互いにマスク姿だ。

 「農業法人に対する投資の円滑化の法律だが、怪しいにおいがする。きちんと過去の反省を踏まえた内容にして欲しい」

 玉木氏が切り込む。やりとりは、農水省の説明が10分、玉木氏の質問は5分ほどで終わった。画面ごしのやりとりに「それほど違和感は感じない。資料にマーカーが引けないなど、資料の整理は新しいやり方でやらなきゃいけないが、十分やれる」と語った。

 コロナ前、国会が始まると、議員会館の廊下には、各省庁の官僚が群れて待機する姿が当たり前だった。

 省庁にとって、国会に提出する法案について議員に説明する「事前レク」や、議員がどういう質問をするのか聞いて回る「質問取り」は欠かせない作業だ。大臣が読む答弁を書くには、議員の質問の内容や狙いを事前に把握する必要がある。ときに十数人もの担当者が議員の部屋を回る。

 ところが、コロナが風景を一変させた。密室に集まり、長く話し込むことは難しくなった。

 国会内の取り決めを話し合う衆院議院運営委員会の理事会で1月21日、質問取りや事前レクはなるべく対面を避け、オンラインなどで行うよう申し合わせた。

 予算委員会で質問をした自民党の鈴木貴子氏(35)は、「北方領土問題について外務省から説明を聞き終えたら、他の省庁に孤独問題を聞く。オンラインなら複数の省庁に同時に質問できるので話が早い」と前向きに受け止めている。

 オンライン化の動きは、感染対策だけでなく、官僚の働き方改革を進める好機との見方もある。

 自民党の牧島かれん青年局長(44)は1月25日の衆院予算委で質問取りをオンラインで行ったとした上で「霞が関働き方改革が進まない要因と責任は政治の側にある」と述べた。国家公務員の深夜に及ぶ長時間労働の問題は「ブラック霞が関」と呼ばれる。

 対面をやめれば、役所や在宅で議員とやりとりできる。大量の資料の持ち運びも不要になり、働き方改革につながるというのだ。

画面の横から上司がのぞく? 「本音を出さない」懸念

 オンライン化がすべて良いわけではないようだ。

 「どこから誰が流出させたのか」。2月17日の衆院予算委員会で、立憲民主党長妻昭氏(60)が日本年金機構に、一通のメールの文書を突きつけて迫った。名前やマイナンバー、年収など同機構から流出したとみられる個人情報が並ぶ。

 この文書は、前日に長妻氏が…

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