NiziUを完全コピーの団結力 「最弱」明豊が急成長

寿柳聡
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 阪神甲子園球場兵庫県西宮市)で開かれている第93回選抜高校野球大会第10日の31日、明豊(大分)が準決勝で中京大中京(愛知)を破り、決勝に進出した。新チーム発足直後、監督から「最弱」と評された選手たちだが、「当たり前のことを当たり前にやる」を徹底。同校史上最高の大舞台にたどりついた。

 いまの3年生たちは明豊入学を控えた2019年春、選抜大会を甲子園で観戦した。先輩たちの4強入りを目の当たりにし、「強いチームに入るんだ」とわくわくした。京本真投手(3年)は「打線がすごい。自分がゼロで抑えられれば、絶対日本一になれる」と闘志が湧いた。

 だが、現チームになると川崎絢平監督から厳しい言葉をかけられた。「ここ5年で最も弱い」。先輩たちと比べれば攻守とも小粒で、「悔しかったけど、その通りだった」と幸(ゆき)修也主将(3年)。基本練習を地道に重ね、打力と守備力の底上げを図った。

 抜きんでた選手がいない分、全員が切磋琢磨(せっさたくま)した。昨秋の県予選と九州大会計8試合で62打点。しかし、九州大会では大崎(長崎)の好投手を打ち崩せず、「全国レベルの投手だと、まだまだ打てない」と痛感させられた。

 練習終了前の最もきついタイミングで500本のティーバッティングを重ね、1球にかける集中力を研ぎ澄まして春を迎えた。守備も磨きあげ、今大会はここまで4試合を無失策だ。県予選、九州大会を通しても計1失策にとどまる。

 川崎監督が「このチームは強くなる」と確信したのは昨秋の文化祭だった。3年生全員で人気グループ「NiziU」などのダンス数曲を「完全コピー」で披露し、最高賞の「明豊大賞」を獲得した。

 学校行事にも全力であたるよう指導していた監督は、「完成度の高さに感動した。この団結力があれば、やっていける」と感じ、選手たちにもそう伝えた。ダンスでも活躍した寮長の米田友(ゆう)選手(3年)は「その言葉がうれしかった」。

 仲間が「一番成長した」と評する米田選手は1回戦、初めての4番で3安打3打点と活躍。2回戦では自身公式戦初となる先制本塁打を放った。「当たり前のことを当たり前にできるチームが強い、という監督の言葉を信じてやってきた。普通のことをやるときの、その普通のレベルが、いつのまにか上がっていた」

 川崎監督は「駄目と言われても『甲子園で日本一』という目標がブレなかった」と、選手たちの心の強さをたたえる。「(『最も弱い』と言われた)あの言葉がなかったら甲子園に来られなかった」と幸主将。「でも満足はしない。ここまで来たら、絶対に日本一になります」(寿柳聡)