さよなら日高線 「昔のにぎわいが…」感謝のセレモニー

西川祥一
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 【北海道】JR日高線の鵡川―様似間(116キロ)が、4月1日廃止される。高波被害で約6年間不通が続き、代行バスを運行していた。1日からは転換バスによる新しい交通網がスタートする。太平洋の海岸線に寄り添うように走ってきた日高線。沿線の住民たちは、鉄道への思いを心に刻んだ。

 様似町の様似駅では31日午後6時30分から、日高線への感謝の思いを込めたセレモニーが開かれた。ミニコンサートや日高線の動画上映があり、参加した人たちは列車が走っていたころを思い出し、懐かしんだ。

 地元の女性グループは、30年ほど前まで売られていた駅弁の「ツブ貝弁当」と「サケ弁当」を再現。当時、駅弁をつくっていたレストラン経営者の家族からレシピを聞き、アポイ米や海産物など地元食材を使った計100個を販売して人気となっていた。

 最後には、19時47分発の静内行きのバスの最終便を見送った。セレモニーを企画した、地元で時計店を営む笹島秀則さんは「日高線がなくなるのは寂しいが、私たちが車に頼り使わなくなったのも廃線につながった。この町には鉄道があったことを、若い人たちに伝えていきたい」と話す。

 沿線には全国から鉄道ファンが足を運んだ。

 浦河町の浦河駅の待合室では、町博物館が列車や線路の写真34点をそろえた写真展を開いている。来場者カードには、全国各地から来た人が「線路や踏切などの写真を見て感動した」「昔のにぎわいが感じられた。日高線、長い間お疲れ様でした」などと書き込んでいた。企画した学芸員の伊藤昭和さんは「ここに鉄道があったという記憶を持ち続けてほしい」という。

 今回の廃止で、むかわ町の鵡川駅は日高線の始発・終着駅となる。同駅には4月末まで、「ありがとう!日高線 鵡川―様似間 新たな始発駅へ」と書かれた大きな看板が掲げられている。町がホームと駅舎に設置した。町は「かつてここから日高への鉄路があったことを、多くの人に知ってほしい」と話している。(西川祥一)

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 〈日高線〉 1927年、王子製紙苫小牧工場に木材を運ぶための私鉄を国有化し、37年に苫小牧―様似間(146・5キロ)が開通した。海岸線を走るため、たびたび自然災害に見舞われた。2015年1月の高波被害では鵡川―様似間が不通となり、JR北海道は16年12月、同区間の廃線協議を沿線7町に要請。7町は20年10月、廃止とバス転換で合意した。