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 【山梨】甲府市太田町の市遊亀公園にある「小沢売店」と「岡売店」が31日、100年を超す歴史に幕を閉じた。店主の高齢化や建物の老朽化が進み、コロナ禍も追い打ちをかけた。常連客からは、惜しむ声が相次いだ。

 小沢売店は、園内の付属動物園の中にある。1919年に動物園が開業する前から営んでいたという。店主は3代目の小沢えい子さん(85)。約半世紀、トラやクマのいる獣舎の近くで軽食や飲み物を提供してきた。

 昨年は、新型コロナウイルスの影響で、動物園が約2カ月間休園し、売り上げも落ち込んだ。手伝っていた娘たちと相談し、「ここが潮時」と決めた。

 閉店の告知後、多くの市民が訪れ、行列ができることもあった。店先の掲示板には「長い間お疲れ様でした」「小さい時からすきでした」といったメッセージが寄せられた。

 「たくさんのお客さんから声をかけていただき、泣かされました」。閉店後にそう語った小沢さん。「感謝、感謝の一言です」としめくくった。

 岡売店は、公園内の池のほとりにある。開業は大正5(1916)年。池のコイのエサを売る店として始まったという。

 店主の岡鶴子さん(66)は4代目。家族から甲府空襲で多くの人が池で命を落としたと聞いた。「今は憩いの場ですが、戦争を乗り越えた場所でもある」と振り返る。

 昭和30年代に建てた店舗は、鉄骨で補強したが老朽化が進んだ。コロナ禍で自慢のおでんを出すこともできなくなった。持病もあり、店をたたむことを決断した。

 「寂しくなる」「もう少し続けてほしい」。最終日も、常連客からそんな声をたくさんもらった。「絆や思い出をたくさん生むことができました。ありがとうございました」(永沼仁)

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