日光植物園の元職員・久保田さんの桜、新品種に認定

梶山天
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 東大付属日光植物園(栃木県日光市)技官で、野生の桜や園芸品種に詳しかった故久保田秀夫さん(享年89)が自宅で栽培していた桜が3月28日、新品種に認定された。「日光紅姫桜(ニッコウベニヒメザクラ)」と名付けられた。久保田さんの次男智さん(73)は31日、植物園が接ぎ木して育てた苗木を園内に植樹した。

 日光紅姫桜は秀夫さんが日光市内の自宅の庭で育てていた。新品種に認定した日本花の会(事務局・東京都)によると、葉や花の形態的特性から、ヤマザクラとマメザクラ、もしくはキンキマメザクラが関係した品種と推定され、「正福寺桜」と似ているが、木の形が違うことなどから、新品種と判断した。

 庭先の日本紅姫桜がどのような経緯で久保田家にやってきたのかは分かっていない。樹齢は40年以上。1980年以降に植えられたという。高さは約8メートル。花は紅色で、フリル状の花弁と細い枝ぶりが特徴。桜を通して地域の活性化を図る市民団体「日光桜遊会」が命名した。

 長野県出身の秀夫さんは小学校教諭を経て、1948年に日光植物園に入った。野生の桜に関する変異や雑種、園芸品種などの研究に情熱を注いだ。小山市の花「思川桜」は、秀夫さんが十月桜の種子を採取して育て、突然変異で誕生した桜だ。66年には昭和天皇、皇后両陛下が植物園を訪ねた際に案内した。2002年に亡くなった。

 09年に植物園の技術専門職員となった清水淳子さん(39)は「思川を見たとき心を打たれるほど美しいと思いました。そんな久保田先生の素晴らしい財産を守り抜きたい」と話した。

 智さんによると、秀夫さんは教諭時代に新しい桜を見つけ、植物学者の大井次三郎さんによって、52年に「片丘桜」と命名された。久保田さんはその一鉢を植物園に入った際に園内に植えた。5歳の時に病気で亡くなった長男詔夫(のりお)さんは「僕のサクラ」と笑顔で絵を描いてお気に入りだったという。智さんは「その笑顔が父の桜研究の支えになっていたに違いない」と懐かしんだ。(梶山天)