第4回「首都で私はトイレに行かない」 大統領が統合を拒む国

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バニャルカ=国末憲人
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ボスニア 分断の現在地:インタビュー(1)

 ボスニア・ヘルツェゴビナで現在、輪番制の国家元首の役割を担うミロラド・ドディック大統領(61)が朝日新聞のインタビューに応じた。セルビア系住民中心の「スルプスカ共和国」から選出されており、同共和国の首都バニャルカでの取材となった。主なやりとりは以下の通り。

 Milorad Dodik 1959年バニャルカ生まれ、ベオグラード大学卒。バニャルカ郊外の市長などを務めた後、スルプスカ共和国首相、同大統領を経て、2018年にセルビア系選出のボスニア大統領に当選した。3大統領が8カ月交代で務める国家元首(大統領評議会議長)には20年11月に就いた。18年に続いて2度目となる。

 ――ボスニア内戦に終止符を打ったデイトン和平合意から25年あまり経ちますが、「ボスニア・ヘルツェゴビナ」という国家としての一体性は、まだ確保できていないようですね。

 「デイトン和平合意は、国家統一については言及していない。合意が規定しているのは『ボスニアが二つの構成体、三つの構成民族からなる』ということだけだ」

 「その原則と構成体の現状を無視して、統一国家をつくろうとすることこそが不安定化の要因だ。もしボスニアがイスラム教徒の統制下で一つの国家になるなら、私たちがその一翼を担うつもりはない」

 ――では、スルプスカ共和国は独立に走るのでしょうか。

 「ここに来る記者はみんな、その質問をする。あなたも同じだな」

 「(国際社会は)相手によって対応が違う。(セルビアから独立した)コソボは自らの国を持つのを認められたが、私たちスルプスカ共和国は認められない」

 「私たちにとって、第一の目標はデイトン和平合意の順守だ。合意に不満は抱いていないし、その条文は守るつもりだ。ただ、合意の文面以外の内容を『これはデイトンの精神だ』と押しつけられても、断る。合意の中で、『国家にある』と明記されている権限以外は、構成体に帰属する権限だと考えている」

 ――あなたは現在、ボスニアの大統領の地位にあるのに、国家統合を否定しています。矛盾していないでしょうか。

 「私は、ボスニア全土の投票…

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