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 朝鮮半島の有事を想定した米韓合同軍事演習について、米韓は3月8日から9日間の予定で実施する方向で最終調整に入った。韓国の国防関係者によると、北朝鮮との関係や新型コロナウイルスの影響を考慮し、野外の機動演習はせず、コンピューターシミュレーションによる小規模な指揮所演習とする。春の合同演習は2年ぶりで、米韓は演習に反対する北朝鮮の動向も警戒している。

 南北関係の進展を望む韓国の文在寅(ムンジェイン)政権には、合同演習に反対する北朝鮮を刺激したくないとの意向が強く、米側も新型コロナウイルスの感染拡大を懸念し、小規模演習の方針となった。ただ、韓国では有事の対応能力に不安の声が上がる。韓国軍の予備役将校らは22日の声明で、「米韓合同演習は北朝鮮の核の脅威を牽制(けんせい)できる唯一の方法」と主張。大規模な野外演習の実施を求めた。

 米韓は、北朝鮮が融和姿勢に転じた2018年から、春と夏の合同演習の期間や規模を縮小。米韓両軍30万人以上が参加し、春に実施してきた野外機動演習「フォール・イーグル」と指揮所演習「キー・リゾルブ」は18年で終了し、19年の演習も小規模だった。南北融和に積極的な文氏だけでなく、同盟関係を軽視し、コスト面から大規模演習に後ろ向きだった米国のトランプ前大統領の意向も反映されてきた。

 北朝鮮の金正恩総書記は1月の朝鮮労働党大会で、韓国を「米国との合同軍事演習を中止すべきであるという我々の再三の警告に顔を背けている」と批判。韓国の専門家からは、演習を口実に、再び弾道ミサイル発射などの挑発行動を起こすとの見方が出ている。一方で、北朝鮮は国内経済の立て直しに躍起で、軍事的挑発を行う余裕はないとみる向きも少なくない。(ソウル=鈴木拓也)