第5回ボスニアの最高権力者は外国人 国家統一の行方を語った

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聞き手 サラエボ=国末憲人
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ボスニア 分断の現在地:インタビュー(2)

 ボスニア・ヘルツェゴビナの最高権力者は、大統領でも首相でもなく、和平合意の履行を監視するために国際社会が任命する上級代表だ。制度上、立法措置や政治家の罷免(ひめん)などの強力な権限を持つ。12年にわたって務めるオーストリア出身のバレンティン・インツコ氏(71)に、ボスニアの歩みと今後について聞いた。

 Valentin Inzko 1949年生まれ。オーストリアのスロベニア系マイノリティー出身。同国の外交官となり、スロベニア大使などを経て2009年に第7代ボスニア・ヘルツェゴビナ上級代表に就任。近く退任の予定。妻はアルゼンチン出身の著名なメゾソプラノ歌手ベルナルダ・フィンクさん。

 ――和平から25年を経ても分断は続いているようです。

 「国の統一を保てたこと自体が大きな成果だ。セルビア系側で独立を目指す動きが出たが、抑え込んだ。国の財産を民族別に分けようとする試みも阻止した。その間、統一通貨を導入し、国旗、国歌も制定できた」

 「車のナンバープレート統一も成し遂げた。3民族に加えてユーゴスラビア時代のものも残り、4種類が混在していた。その際、セルビア系は『キリル文字を入れろ』と求めてきた(3民族の言語はセルボクロアチア語で同じだが、2民族がラテン文字を使うのに対し、セルビア系はしばしばキリル文字も使う)。思案していたら、O、M、Tなどの文字はキリルもラテンも同じだと気付いた。ナンバーにはこれらの字だけ使うことにした。たかがナンバーだが、国内の自由移動を確保する上では重要だ」

 ――国際社会の関与が成果を生んだということですね。

 「ただ、現在は(和平を守る…

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