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 新型コロナウイルスの「重点病院」化に伴い、転院が必要な妊婦に経済支援する――。東京都の小池百合子知事がそう表明していた二つの公社病院で、実際には支援が行われていないことがわかった。両病院ともに産科を閉めたわけではなく、「転院は自己都合」とみなされたからだ。感染リスクを恐れて転院した妊婦からは怒りの声が上がる。(軽部理人)

 1月にコロナの重点病院になったものの、転院した妊婦に対する支援が行われていないのは、公社豊島病院(板橋区)と公社荏原病院(大田区)。

 豊島病院で3月下旬に出産予定だった都内の女性(36)は「臨月を間近に控えた状態での転院で、心理的、経済的な負担はとても大きかった。だが病院や東京都からは誠意ある対応が一切なかった」と憤る。

 女性は2年半前に第1子を豊島病院で産み、自身の疾患による入院も経験した。自宅から近く、通い慣れた病院での出産を望んでいた。だが、コロナの重点病院となることで感染リスクが高まり、胎児に悪影響を与えるのではないか――。転院はできれば避けたかったが、病院の感染防止策は不十分だと感じた。女性はそんな不安から自主的に転院を考え、あちこちの産科に電話をかけた。

小池知事、負担表明していたが

 妊娠後期で受け入れてくれるところは限られていたが、事情を話すと、新宿区内の病院が転院を受け入れてくれることになった。ただ、費用は、豊島病院よりも30万円ほど高額だった。それでも、小池知事が自身のツイッターで、出産費用の差額分などを負担すると表明していたこともあり、女性は決意した。

 だが、実情は違った。都や病院からは、転院に伴う支援は今も一切得られていない。豊島病院や都に問い合わせたところ、「産科は継続している」との理由を伝えられた。豊島病院が初めに書いた転院先への紹介状は、出産予定日が4カ月以上遅く書かれ、不信感は増すばかりだった。

 豊島病院であれば15分ほどで行けるが、今の病院は45分ほどかかる。週に1度の健診が午前中であれば混雑した電車に乗る必要があり、感染リスクが高まらないかと心配している。

 「『自己都合』と言われると、いかにも自分のワガママで転院したと言われている感じがする」。ただでさえ、苦労が多い妊婦。女性は、都や病院の配慮のなさを残念に感じている。

 東京都は1月、豊島と荏原病院…

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