「助けて」吹き出し入りの地図で震災を再現 情報1万件

大宮慎次朗
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 震災当時の記憶を地図で再現するサイト「東日本大震災『減災リポート』アーカイブ」がこのほど、無料で公開された。震災当時に天気情報サイトに寄せられた約1万件の被害報告を集め、位置情報と連動させたものだ。

 同アーカイブは、天気情報サイト「ウェザーニュース」の会員が、震災発災から翌々日の午前0時までに投稿した被害報告がウェブ上の地図にメガホンのマークで表示される。

 アーカイブを開くと、日本列島航空写真は、無数のオレンジ色のメガホンで埋め尽くされている。東北地方にズームし、岩手県大槌町の沿岸部にぽつんとあった一つをクリックすると、白い角丸四角の吹き出しが現れた。

 「大津波で町は壊滅状態です。山火事も多数起きていて、お国の方、大槌を助けて」(3月12日午前2時28分)。同町では1200人以上が死亡・行方不明になった。

「切迫流産状態で服も濡れてて苦しんでいます!」

 東北地方の被害報告のメガホンは、避難に追われたためか点在。報告は短い文で人命に関わる内容が多く、当時の切迫した状況が伝わってくる。

 「嫁が水害に巻き込まれてます!切迫流産状態で服も濡(ぬ)れてて苦しんでいます!」(宮城県多賀城市・3月12日午前2時31分)

 「公立志津川病院、その向かいの高野会館に数百人避難中。ヘリコプターによる救援、救援物資を求めます」(宮城県南三陸町・3月12日午後0時20分)

 一方、首都圏では、電車などの交通機関のマヒやライフラインの一部寸断での混乱ぶりを示す内容が目立つ。東京湾の沿岸部の埋め立て地からは、液状化に関する報告もあった。

 「駅周辺は液状化が激しいです。歩道橋にズレが発生したり、バス停もひび割れているので運転手さんや係員が乗客の補助をしていました」(千葉県浦安市・3月12日午後10時52分)

 「停電中ガスも水道もストップ中早く復旧して欲しいです」「ホテルの広間が帰宅困難者キャンプになってます」(ともに東京都)といった報告があった。

 揺れは九州にまで及んでいたこともわかる。「津波が心配だ」(宮崎県)と不安がる声や、「仙台市宮城野に住む友人の電話がつながりません」(福岡県)と安否を知りたがる声も多かった。

無料で公開中

 このサイトは、デジタル技術を活用した伝承活動に取り組む東京大学大学院の渡辺英徳教授が開発。「いわばデジタル上の伝承館のようなもの」だという。当時のツイッター投稿をまとめた類似のサイトも作った。こちらは被害報告より被災者の率直な感情が色濃く、二つを活用することで、当時の記憶が再現されるという。

 渡辺教授は「震災から10年。SNSやスマホ、タブレットが広く普及し、蓄積されるデータが増え、それを受容する環境も整った。当時を思い出し、次の災害のときに役立ててほしい」と話した。

 東日本大震災「『減災リポート』アーカイブ」(https://311report.mapping.jp/別ウインドウで開きます)。「東日本大震災ツイートマッピング」(https://tweet.mapping.jp/別ウインドウで開きます(大宮慎次朗)