「炭素国境調整」を検討も バイデン米政権の通商政策

青山直篤
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 米通商代表部(USTR)は1日、バイデン政権の通商政策の課題をまとめた米議会への年次報告書を公表した。温室効果ガスの排出削減努力が足りない国からの輸入品に課金する「国境調整措置」の検討を盛り込み、中国によるウイグル族強制労働問題への対処について「最優先事項の一つ」と明記した。

拡大する写真・図版2月25日、米上院の承認公聴会で証言するキャサリン・タイ米次期通商代表候補=AFP時事

 バイデン政権は、気候変動対策にも役立つ新産業の創出や雇用確保など、コロナ禍からの復興に向けた肝いり政策の手段として、通商政策を従属的に位置づける。制裁関税というわかりやすい手法による政治的アピールを狙い、通商政策を前面に出したトランプ前政権との違いだ。

 ただ、国内産業の保護と「労働者重視」を掲げる点では共通点も多い。報告書では「温室効果ガス削減に向けた国内政策に見合う形で、必要に応じて国境調整を含む政策を検討する」と説明。中国・新疆ウイグル自治区での少数民族の人権侵害に対しては、トランプ政権も強制労働によるとみられる綿製品などの輸入を禁止していたが、今回の報告書は「強制労働に対抗するためあらゆる措置を検討する」とより踏み込んだ。

 対日政策については、2019年9月の日米首脳の共同声明を踏まえ「(日米は)第2段階の合意に向け、さらに交渉する計画を発表した」と改めて明記した。日米は20年1月に「第1段階」の日米貿易協定を発効させたが、日本側はもともと「第2段階」の交渉をしたくないのが本音で、バイデン政権側にとっての優先度も低い。(青山直篤)