[PR]

 大阪市住之江区の旧工場・倉庫(約1千平方メートル)に収蔵されている大型現代アート作品を公開するイベント「Open Storage 2020―2021 ―拡張する収蔵庫―」が6日から開かれる。今年は初めて、制作中の作品を現場で作家と一緒に見たり、説明者と対話しながら鑑賞したりできる企画がある。

 会場は同区北加賀屋5丁目の元鋼材加工工場・倉庫だ。縦53メートル、横20メートル、高さ9メートルの広さがある。

 北加賀屋地域を「芸術・文化が集積する創造拠点」として再生する構想に取り組む「おおさか創造千島財団」は2012年、保管が難しい大型アート作品の収蔵場所として活用する「MASK(Mega Art Storage Kitakagaya)」を始めた。14年から毎年、公開イベントを開いてきた。

 大阪出身の現代芸術作家、ヤノベケンジさんの作品が目を引く。10年前の東日本大震災と東京電力福島第一原発事故後に制作した「サン・チャイルド」は、高さ6メートルの防護服姿の子どもの像だ。火を噴く高さ7メートルのロボット「ジャイアント・トらやん」もある。

 ほかは宇治野宗輝(うじのむねてる)さん、金氏(かねうじ)徹平さん、久保田弘成(ひろなり)さん、名和晃平さん、やなぎみわさん。いずれも第一線で活躍する計6人の作品約20点を保管してきた。

 財団は一昨年、新たな才能の発掘と支援を進めるため、若手作家の作品を収蔵することを決め、11月に公募を実施した。

 53人から選ばれたのは長野県在住の持田敦子さん(31)だ。東京芸術大大学院修了で、民家の中央部分を回転する構造にした「T家の転回」など、大胆な作風で知られる。

 持田さんは現在、MASKの建物正面シャッターに新たな回転扉を設ける「拓(ひら)く」の制作に取り組み、10月に完成させる予定だ。イベントに合わせ、13日午前と午後に各1回、制作現場ツアーを実施する(各回先着10人で、要申し込み)。

 持田さんは「展覧会後に解体されてきた大型作品を長期保管を前提に制作できるのはうれしい。大きい作品への挑戦を受け止めてくれた貴重な機会を楽しみたい」と意欲を燃やす。

 会場内は6、7、13、14、20、21日の正午~午後6時に公開される。小学校低学年、高学年と中学~大人の各部に分かれ、説明者と対話しながら作品を鑑賞するプログラムは20、21日にある(要申し込み)。

 オンライン(http://www.chishimatochi.info/found/mask/別ウインドウで開きます)でも6~21日に視聴できる。10、12日には持田さんや美術館学芸員らが出演するトークも配信される。

 イベントを企画したキュレーターの木ノ下智恵子・大阪大准教授(現代美術)は「工場跡は巨大アートの制作環境に向いていて欧米では前例があるが、日本では希少。MASKはアーティストにとっての制作の動機づけになっているほか、鑑賞する側も、幼い子らが実体験として大きな作品に接するのは意味がある」と話す。

 イベントはすべて無料。申し込み、問い合わせはMASKウェブサイト(https://www.chishimatochi.info/found/mask/event/別ウインドウで開きます)。(川本裕司)