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 愛知県が昨年実施した県政世論調査で、「オレオレ詐欺」などの特殊詐欺の認知度が9割を超える一方、キャッシュカードをだまし取る「カード手交型」と呼ばれる詐欺手口を知っている人は少なかった。後を絶たない被害を減らそうと、官民ともに対策に取り組んでいる。

 県警生活安全総務課によると、昨年の県内の特殊詐欺被害認知件数は569件で、被害総額は約13億4657万円(暫定値)にのぼる。県の世論調査(昨年11月実施)に答えた18歳以上の男女1636人で、特殊詐欺自体を「知っている」と答えたのは93・0%。その中で、親族をかたって現金をだまし取る手口は93・1%、還付金名目でATM(現金自動出入機)から振り込ませる手口は79・4%が認知していた。

 一方、「キャッシュカードを交換する」などと言ってカードをだまし取る手口は65・0%、カードを封筒に入れさせて別の封筒にすり替えて盗む手口は49・9%。こうした「カード手交型」の詐欺の認知度が他の手口に比べて低かった。

 春日井署は、手作りの漫画で啓発している。県警のマスコット「コノハけいぶファミリー」を使い、ポスターやチラシでカード手交型などの注意を呼びかける。

 漫画を描いたのは、同署生活安全課の佐藤由規警部(45)。きっかけは昨年12月、80代の女性がカード手交型手口の被害に遭った事件で、女性はこの手口を知らなかった。これまでの啓発物は文字が多く、「文字で伝わらないところを絵にしよう」と、大事なポイントに絞って絵で表現。市役所にも配られ、「わかりやすくなった」との声が寄せられたという。「抑止に終わりはない。いろんな広報をして犯罪を防ぎたい」と佐藤警部は話す。

 「街のでんきやさん」も一役買っている。パナソニック製品を扱う「フナカタ 一ツ山店」(名古屋市天白区)は、商品の大型テレビでアイドルグループ「SKE48」のメンバーが特殊詐欺への注意を呼びかける映像を流している。県警が制作した映像だ。パナソニックは2016年から「防犯CSR活動」を始め、地域の見守り活動や、警察と連携して啓発チラシの作成などに取り組む。

 同店の顧客には高齢者が多く、代表取締役の牧史哲さん(46)は商品の配達や修理で回りながら、防犯も呼びかけている。インターホンを買い替える際には録画機能付きにしてもらったり、電話は迷惑電話防止機能付きを勧めたりしており、特殊詐欺の容疑者逮捕につながったこともある。「電器屋だけど、何でも屋。困った時に頼られることもある」と牧さん。今後も地域の安全に寄り添っていくつもりだ。(高絢実)

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