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 【福岡】トラックで生の落語をお届けします。北九州市を拠点に活動する落語家の橘家文太さん(33)が、キッチンカーや移動販売車の製作を手がける福岡県遠賀町のヒートウェーブ社の協力を得て「走る寄席」づくりを進めている。荷台を高座に改装し、落語のほかマジックなどの演芸を披露できるようにする。

 「これ一台でどこにでも屋外高座を設けられる。新型コロナウイルス禍にもぴったりの世界初の試みです」。構想を説明しながら文太さんは胸を張った。

 例えば学校への出前寄席。コロナ下では多くの児童や生徒を体育館に一堂に集めるのは難しい。荷台には音響・照明機器も備えられる。トラックを校庭に止めて教室に荷台を向ければ、観客の子どもたちはそれぞれの教室にいたままで、開けた窓から文太さんの落語を楽しめる。

 トラックを止められ、人々が距離を取って見物できるだけの広さがあれば、公園や道の駅の駐車場など、どこでも寄席を届けられる。

 文太さんが考えついたのは昨年末のこと。故郷の北九州市に寄席を作りたい一心で東京から拠点を移した文太さんを応援する人から、ヒートウェーブ社長の七田弘輝さん(52)を紹介された。

 七田さんは、ピザを焼く薪釜(まきがま)が車内にあるキッチンカーや、大型の冷蔵ショーケースを備えたミニスーパーなど多種多様な移動販売車を手がけてきた。「寄席を設けた車づくり」の相談も「出来ない仕事ではない」と引き受けた。

 それにはどんな機能が必要で、どんな車が最適か文太さんと相談を重ねた。手に入れたのは、奥行き約4メートル、高さと幅がそれぞれ約2メートルの荷台を備え、荷台の扉が上下に開くトラックだ。文太さんが持つ普通免許で運転できる。

 荷台には高座部分と楽屋部分を設け、その間を障子で仕切る。高座には畳を敷き、天井を格子柄にして寄席の雰囲気を演出する。楽屋には衣装や小道具を置ける棚を設け、2人が着替えたり、待機したりできる広さを確保する。3月に製作を始め、4月に完成する予定だ。

 数百万円と見積もる費用は今後、クラウドファンディングで集める計画で、大手サイトの「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」に募集ページを設ける準備を進めている。お返しには文太さんが弟子となる「1日師匠体験」などを用意するという。

 トラックの改装の様子は今後、動画投稿サイトYouTubeに設けた「橘家文太ちゃんねる」で随時、伝えていく。

 「常設の舞台がない広場や、ちょっとした町内の催しにも気軽に呼んでいただける。新型コロナ収束後も活躍すると思います」と走る寄席に期待をかける文太さん。まずは、北九州の隅々にまで一席をと意気込んでいる。(吉田啓)

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