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 愛媛県内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されてから、2日で1年がたった。県内の感染確認は1064人、死者は23人に上った。この1年、県民の間には健康への不安が広がり、生活や働き方の変化を強いられた。感染終息のめどが立たない中、地域経済にも色濃く影を落としている。(亀岡龍太)

 昨年3月2日に感染者が初めて確認されて以来、今月1日までの県内の感染確認は計1064人。県外や海外を除く1029人の居住地別では、松山市が712人と飛び抜けて多い。今治市69人、四国中央市62人、大洲市43人、松前町34人と続き、20市町のうち感染確認がないのは久万高原町と松野町だけだ。

 感染者はほとんどが回復したが、死者も計23人に上った。県内第1波の4、5月は計4人、第2波の7、8月は計2人、冬場の第3波では12月に7人、今年1月に6人、2月に4人が亡くなった。

 感染拡大の時期は、ウイルスの「持ち込み」や「持ち帰り」などで全国的な動きと連動している。第1波は昨年4月38人、5月35人。第2波は7月7人、8月25人の感染が確認されたが、最大は年末年始の第3波だった。11月198人、12月151人、今年1月は感染者全体の半数近い528人と激増した。

 同じ場で5人以上が集団感染するクラスター(感染者集団)は医療機関や高齢者施設、学校、企業、飲食店などで計30事例462人を確認。27事例413人は昨年11月以降に集中している。四国中央市の高齢者施設で1月に発生したクラスターでは累計49人の陽性が確認され、最大だった。

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 感染は子どもから高齢者まで幅広く広がり、職種も教員や医師、銀行員、百貨店員、スポーツ選手など多岐にわたった。県内で感染対策を担う県や松山市はこれらをプライバシーの保護に配慮しつつ公表。また、県内の主要企業なども社会的な影響を考慮し、社内の感染確認を発信した。

 行政は「感染拡大防止」と「社会経済活動の維持」の両立をどう図るか、難しいかじ取りを迫られた。県や市町は住民にマスクの着用や「3密」回避など感染防止の徹底を呼びかけ、状況が厳しい時期には外出の自粛や感染拡大地域との往来自粛を求めた。県は1月8日から1カ月間、最も感染が広がった松山市の飲食店に営業時間短縮を要請するなど、経済活動の抑制策も打ち出した。

 一方で、県や市町は打撃を被った地域経済の下支えも模索。国の雇用調整助成金や持続化給付金に加え、県は「愛媛版協力金」を創設。感染防止に協力する事業所や店舗、宿泊施設などを支援した。

 ただ、事業や商売の多くは街の人出が支える。特に昨年末は人出を促す「アクセル」と感染拡大防止のために人出を抑える「ブレーキ」が同時並行で使われ、急速な感染拡大を招いた面も否めなかった。

 中村時広知事は2日、報道陣の取材に応じ、「長いようにもあっという間のようにも感じた。未知なる敵だったので、手探りでの対応だった。県民も注意深く行動してくれた」と振り返り、今後に向けては「感染回避は続ける前提で様々な分野で対応する必要があり、知恵の見せどころ。ワクチンは円滑に多くの方に接種してもらうようにしたい」と述べた。

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 コロナ禍は、県内の医療体制にも大きな課題を突きつけた。

 「県内も第3波でこてんぱんにやられた。やや落ち着いたが、1波や2波ほど下がりきってはおらず、気を緩めたら感染はまた広がる」。県医師会の村上博会長は指摘する。一時はマスクや消毒薬の供給が途絶え、自らも1枚のマスクを1週間使ったという。

 村上さんによると、1月、新型コロナ病床を擁する病院の一部からは悲鳴が上がった。病床を担当する人材が不足し、「医療崩壊寸前だ」と助けを求める声もあった。病院クラスターの際は、医療や介護の現場を支える看護師やヘルパーが濃厚接触者として自宅待機を余儀なくされ、人材の少なさを痛感したという。

 一方で、「この1年は防戦一方だったが、2年目はいよいよ手に入るワクチンを携え、感染抑止に向けて攻めに転じたい」とも語る。今後に向けて「医療スタッフを別の施設から回すシステム、コロナ病床で回復した患者を後方病院が円滑に受け持つスキームが必要。地域の公立病院も運営の余裕を持たせるべきで、採算性の観点から統合・縮小する動きは立ち止まって考えた方がいい」と話す。

新型コロナをめぐる愛媛県内の主な動き

【20年】

3月2日 愛南町で県内初感染を確認

  3日 公立学校、国の要請で臨時休校に

  4日 松山市で初の感染確認

  26日 新居浜市で東予初の感染確認

4月3日 県内で初めて感染者が死亡

  16日 国の緊急事態宣言、愛媛も含む全国に拡大

  18日 道後温泉本館、臨時休業

  27日 遊技・遊興施設に県が休業要請

5月1日 県の愛媛版協力金、受け付け開始

  8日 県が感染対策期、警戒期、縮小期を独自設定

  11日 「感染警戒期」に。公立学校で分散登校開始

  14日 松山市内の病院でクラスター(感染者集団)発生。国が愛媛を含む39県で緊急事態宣言を解除

     松山市で国の一律10万円給付開始

  25日 公立学校が全面再開

6月19日 「感染縮小期」に。道後温泉本館、松山城が営業再開

10月23日 「Go To イート」飲食券、県内でも販売開始

11月20日 「感染警戒期」に引き上げ

  21日 松山市内の飲食店でクラスター発生

     年明けにかけ高齢者施設、病院、警察、学校などでも

12月14日 国が「Go To トラベル」の停止を発表

【21年】

1月8日 県が最多38人の感染確認を発表。26日まで「特別警戒期間」を設定

  13日 県、松山市内の酒類提供飲食店に営業時間短縮を要請

  18日 感染者の入院者数が最多の73人に

  22日 県、特別警戒期間を2月7日まで延長すると発表

     飲食店への時短要請も継続

2月4日 特別警戒期間の1カ月延長を県が発表。時短要請は7日で終了

  8日 「Go To イート」飲食券の販売、県内で再開

  19日 愛媛労災病院で国によるワクチンの先行接種が始まる

  24日 変異株の疑い例を県が発表

3月1日 県、特別警戒期間を前倒しで解除。感染警戒期は継続

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