俳句の魅力伝えたい 生誕100年、飯田龍太展 山梨

永沼仁
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 山梨が生んだ現代俳句の巨匠、飯田龍太(1920~2007)の生誕100年を記念した「飯田龍太展」が、甲府市貢川1丁目の山梨県文学館で開かれている。没後2回目となる回顧展は、龍太自身による作品解説などに力を入れ、俳句の魅力を広く伝える展示となっている。

 龍太は笛吹市境川町生まれ。俳人飯田蛇笏(だこつ)の四男で、蛇笏の主宰した俳誌「雲母(うんも)」の編集に従事した。戦後の俳壇に伝統派の旗手として登場。清新な詩情が評価され、全国で俳句の指導にもあたった。雲母の終刊後、15年間作品を発表することなく86歳で生涯を閉じた。

 今回は没後の翌2008年に開かれた企画展に次ぐ回顧展となる。昨春企画されたがコロナ禍のため延期されていた。

 龍太の自筆原稿や書、交流のあった井伏鱒二金子兜太の書簡のほか、カメラや釣り道具など愛用品も見ることができる。「山廬(さんろ)」と称した自宅での暮らしぶりをしのぶ資料も並ぶ。

 作品鑑賞のサポートも充実している。代表句の横に季語や年代などを記し、龍太自身の「解説」も付した。「説明しすぎは鑑賞を妨げるが、作品に接するとっかかりをつくりたかった」。保坂雅子学芸課長はそう話す。

 たとえば、「大寒の一戸もかくれなき故郷」という句では、雪の南アルプスを眺めて放尿する「極楽」な気分を詠んだことが紹介され、来場者に親近感を抱かせる。「一月の川一月の谷の中」という句では、「直感」以外に説明がつかないとの言葉があり、多様な解釈に誘う。

 展示を授業にも活用してもらおうと、1月下旬には県内の教師を対象にした学習会も開いた。保坂学芸課長は「県内の子どもたちは、夏の暑さや冬の風など、龍太の感覚をわかってくれるのではないか」と期待する。

 21日まで。9日まで閲覧室で俳誌「雲母」などの資料を手にとって読むことができる。6日午後2時からは「山廬を訪れた人々」と題した講座もある。月曜休館。問い合わせは同館(055・235・8080)へ。(永沼仁)