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 静岡県藤枝市の居酒屋「おもひで横丁 藤枝市場~(通称エダバ)」が新型コロナウイルス感染拡大の影響で2月末で休業した。3月から介護食の宅配などに業態を変えてしのぎ、コロナ終息後の再開を目指す。

 開店から15年。地元の日本酒飲み比べや地場産品を使った創作メニューなど、地域に根ざした活動で知られる。サッカーJ3藤枝MYFCの応援団の拠点でもある。

 新しい企画の立ち上げはいつもここ。渡部晋社長(47)と寺川義則店長(44)には、飲食店が集積する「居酒屋のまち・藤枝」を牽引(けんいん)してきた自負があった。

 昨年3月、新型コロナウイルスの感染者が県内で確認されてすぐ、系列の「萬惣(まんそう)食堂」を弁当のテイクアウト専門店に切り替えた。エダバは緊急事態宣言の期間は休業し、6月に再開。客足は徐々に戻り、11月にはコロナ前の6~7割にまで回復した。しかし、流行の第3波が来て、忘年会や新年会の予約がゼロに。1月以降は事前予約があった日のみ開店し、寺川さんが一人で切り盛りしてきた。

 全50席だが、「週末に2~3組の予約があればいい方。さみしいものです」と寺川さん。常連客の多くが「またエダバで飲みたいよ」と声をかけてくる。だが、特に30~40代の家族持ちは「今は行けないなあ。万が一感染してしまったら、自分だけの問題じゃないから」。

 渡部さんは昨年末、介護サービス付き高齢者住宅の経営者から「介護食をやってみないか」と声をかけられた。寺川さんは1月から萬惣食堂で介護給食15食を作り始めた。施設の注文に応じて、塩分を控えめにしたり、素材を柔らかく煮込んだり、小さく刻んだり。3月から2カ所増えて80食分を担うことになった。萬惣食堂は高齢者向け弁当の全国チェーン「まごころ弁当」の藤枝店も兼ね、宅配も始める。

 寺川さんが朝から晩まで働きづめになるため、エダバを開け続けて中途半端になるより、いったん閉めようと決意。2月18日にフェイスブックで休業を告知した。

 「がんばれー」「お客もパワーアップして待ってるよ」。コメント欄に並んだ常連の励ましに、寺川さんは返信した。「必ず再開します。日本酒、たくさん売りたいもん」。渡部さんは「居酒屋は最高の居場所。その思いを新たに、必ず帰ってきます」と話した。(阿久沢悦子)

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