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 福岡県太宰府市の女性暴行死事件で、傷害致死などの罪に問われた山本美幸被告(42)と岸颯(つばさ)被告(25)の裁判員裁判の判決公判が2日、福岡地裁であった。岡崎忠之裁判長は「両被告は女性を服従させる目的で、意を通じて一連の暴行を行った」として、山本被告に懲役22年(求刑懲役23年)、岸被告に懲役15年(同16年)を言い渡した。

 判決によると、両被告は2019年9月下旬~10月20日ごろ、太宰府市の自宅で高畑瑠美(るみ)さん(当時36)の太ももをナイフや割り箸で刺すなどし、20日午前4時50分ごろまでに外傷性ショックで死亡させた。

 山本被告が高畑さんをホストクラブに同行させて親族から借金を重ねさせることで疎遠にさせ、夫と別居させて両被告の家に住ませ、連絡を取れないようにして孤立させた。岡崎裁判長は「高畑さんにとって不本意な行動を強いて思い通りに支配した」と批判した。

 公判で山本被告は岸被告の暴行を止められなかったと訴え、岸被告は暴行を否定し、いずれも無罪を訴えたが、判決は「互いに責任をなすりつけ、反省の態度が見られない」と退けた。

 一方、繰り返された暴行によって乗用車内で亡くなった高畑さんの遺体を、福岡市博多区から太宰府市まで運んだとの死体遺棄罪については「遺体を隠す積極的な行為を行ったわけではない」として無罪にした。

 高畑さんの遺族は「全面的に検察側の主張が通った。両被告の反省のない態度は、同情の余地がない」とのコメントを出した。

 事件をめぐっては、高畑さんの遺族が佐賀県警に相談に訪れたが、適切に対応されなかったとして問題視。県警は「ただちに危害が及ぶ可能性があるとは認められなかった」としている。県警は判決後、「判決についてコメントする立場にない。ご遺族に改めて心よりお悔やみを申し上げます」とのコメントを出した。

 判決後の裁判員の記者会見では、佐賀県警の対応について「こんな事態になるまで見抜けなかったことが残念でならない」「とんでもない対応」「警察が一回でも見に行っていれば瑠美さんはこういうことにならなかったと思うと悔しい」といった声がでた。(山野健太郎)