人生変わった「オムレツ王子」 とろふわにはまった末に
半熟でとろとろ、ふわふわの食感が楽しめるオムレツに魅せられ、その魅力の発信に日々を捧げている男性がいる。「人生を変えてもらった」と、感謝の念を抱くほどに愛するオムレツ。その出会いや、活動にかける思いとは――。
福岡市の松本歩さん(27)は、2019年にオムレツ専門の料理講師として活動を始めた。料理教室や交流会を定期的に開いている。昨春には一般社団法人・九州オムレツ協会を設立。コロナ禍で対面による活動が制限されているが、SNSでは自身を「オムレツ王子」と称し、様々なオムレツのつくり方を動画投稿で紹介するなど、魅力発信に力を入れている。
卵とバター、フライパンがあれば、だれでも手軽につくれるオムレツ。だが、火加減や材料の組み合わせで食感や味が大きく変わる「奥深い世界」がある。それに魅せられたのは23歳のときだった。
知人に紹介され、福岡市内にある高級ホテルのレストランで調理担当として勤め始めた。本格的な料理経験はない。材料の仕込みやごみ出しなどの雑用全般を経て、入社9カ月ほどで朝食のビュッフェ会場に出た。卵料理を提供するコーナーでオムレツも手がけた。試行錯誤のしがいがあり、その見た目の美しさと味で客を笑顔にできることがわかった。成り行きで始めた仕事だったが、オムレツをつくるときは好奇心や想像力がかき立てられた。
19年に契約満了を迎えた…