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 福井県工業技術センター(福井市)は、越前焼工業協同組合(福井県越前町)と協力し、越前焼に使える新しい粘土を開発した。改良を重ねていく必要があるが、試作関係者は「越前焼の持続的な発展や、新たな可能性を広げる存在になってほしい」と期待している。

 19の窯元でつくる組合は、越前町内で採掘した3種類の土をブレンドして、越前焼用の粘土を作っている。近年、組合が保有する3種類の土が減ってきているのに加えて、手軽に採掘できる場所が町内に少ないため、良質な粘土の確保が課題になっているという。

 そんな中、工業技術センターの真木教雄・主任研究員は、2007年に町内の製瓦会社跡で採掘された土に注目。まとまった量があるが、成形しにくいなどの欠点から、越前焼用に使われていないこの土を生かす方法を探ることにした。

 真木さんは、越前焼の粘土の原料になる3種類の土と、会社跡にある新しい土の成分や特性を分析。その結果、3種類のうちの2種類と新しい土をブレンド、粉砕することで、新しい土の欠点を克服しつつ、従来の越前焼の粘土と同等以上の強度と成形のしやすさを備えた粘土ができたという。

 新しい粘土で試作品を作った組合の吉田豊一代表理事は「従来の越前焼の粘土と比べても伸ばしやすく、作りやすいと感じた。焼きあがりの質感や手触りもよく似ている。この土が越前焼の可能性を広げてくれるかもしれない」と話す。

 とはいえ、開発した粘土を使った越前焼の試作数は少なく、窯元が求める多様な表現に応えられるかや、いろいろな種類の器に使うことができるかなど、未知数な部分は多い。

 センターと組合は今後、窯元にこの粘土を使ってもらい、改良を加えていく。将来的な実用化を目指し、越前焼の粘土不足への備えにしたい考えだ。真木さんは「窯元の皆さんに使ってもらって、より使いやすい粘土を目指していきたい」と話す。(八百板一平)

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