台風で大雨、浸水被害「防げた」 住民が川崎市を提訴へ

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斎藤博美、大平要
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 2019年10月の台風19号にともなう大雨で浸水被害を受けた川崎市中原区高津区の住民らが、市が川のゲート(水門)を閉鎖すれば浸水を阻止するか軽減できたとして、市に損害賠償を求める集団訴訟を横浜地裁川崎支部に9日に起こす。代理人弁護士が3日、記者会見して明らかにした。賠償請求額は約2億5千万円に上る。

 「川崎市に謝罪と損害賠償、再発防止を求めていくことが柱になる」。弁護団の川岸卓哉弁護士は訴訟の狙いをこう語った。

 原告は住民ら67人と4法人。1人100万円の慰謝料と建物の修理費用などを求める。

 この台風による浸水をめぐっては、市が設置した検証委員会が昨年、多摩川の水位が上昇して一部で水が排水管を逆流し、市街地で浸水が起きたなどとする報告書を提出。市はこれを受け、逆流を確認した場合はゲートを閉じるなどの手順を明確化する一方、水位上昇は想定以上で「補償や賠償は難しい」としてきた。

 この点について原告側は、多摩川の上流で甚大な降雨が観測され、多摩川氾濫(はんらん)注意情報も発表されていたので、逆流するほどまで水位が上がることは十分予測できたと指摘。過去にも大雨で多摩川の水が逆流し浸水被害が起きていたことや、この台風の際にも、近隣の東京都大田区世田谷区では逆流による浸水を防ぐためにゲートの閉鎖を行っていたことから、川崎市もゲートを閉じるべきだったと主張する方針だ。

 福田紀彦市長はこの日の会見で、住民らが提訴することについて「想定以上の水位での被害で、市に瑕疵(かし)はないと結論づけている。被害にあった方の心情は理解できるので、裁判の中で市の主張を丁寧に説明していきたい」と述べた。(斎藤博美、大平要)

「マニュアルに従っただけ」 終始する市に不信感

 高校教師として「裁判は市民の権利」と生徒に説いてきた。原告団長就任は「自然な流れ」と川崎晶子さん(47)は語る。夫と3人の息子と暮らす自宅は多摩川近くの3階建て。台風直撃の夜、屋上から多摩川の様子を見て、土手に越水の兆しはなく安心した。

 しかし逆流した水で、自宅は…

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