トランプ時代は蜜月でしたが…米サウジ関係、識者に聞く

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ドバイ=伊藤喜之
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 サウジアラビア人記者のジャマル・カショギ氏の殺害または拘束にはムハンマド皇太子の承認があった――。バイデン米政権がそう結論づける米情報機関の調査報告書を発表したことに、サウジは「不正確な情報、結論が含まれている」と強く反発している。トランプ前政権時代は蜜月だった米国とサウジの関係に変化が訪れるのか。サウジ情勢に詳しい3人の識者の見方は――。

「大型投資、米国企業を引きつける」

〈サウジのシンクタンク「サウジ政治科学協会」の政治アナリスト、ソレイマン・オカエリ氏〉

 皇太子の関与に言及した調査報告書は「~かもしれない」、「おそらく」、「~しただろう」など、あいまいな言葉を使っており、結論を導くに足る論拠がない。それにもかかわらず、米政権は(皇太子が「承認した」という)断定的な結論を導いている。

 一方で、米国が共和党政権から民主党政権に移行し、意見の差異があろうとも、米サウジの深く歴史に根ざした関係にそれほど影響はないだろう。経済的にも皇太子肝いりの脱石油の戦略「ビジョン2030」に基づく(西部の人工都市ネオムなどの)大型の都市開発計画には多くの外国からの投資や専門的知見が必要だ。税免除など多くのインセンティブも用意し、米国を含む多くの国際的企業をすでに引きつけている。米国内でもサウジは投資の規模が大きく、多くの米国企業の顧客でもある。こうした関係が米国とサウジとの「同盟関係」をより不可欠なものにしている。

 今回の報告書は推測に満ちた政治的な分析、個人的見解のようなものだ。国際的な責任を持った米国の報告書が、そのような態度で作成されるべきではない。中東の重要な同盟国であるサウジに対してはなおさらだ。

「米国へ圧力かける力なくなった」

〈中東情勢に詳しい英国在住の政治アナリスト、サミ・ハムディ氏〉

 もはやサウジにはかつて持っていたような、石油資源の優位性や湾岸諸国の結束などの「てこ」を使い、ワシントンに圧力をかけるほどの力はない。米国でのシェールガスの発見で、米国が事実上世界一の産油国になってしまったし、イエメン内戦やカタール断交などで湾岸の結束も崩れたからだ。それでもなお、サウジは中東地域の安全保障やムハンマド皇太子が進める大型の投資案件で、米国を頼りにしていることに変わりはない。今回の報告書が発表されたことは、(昔に比べて)サウジが米国といかにバランスの崩れた関係を結ばざるを得なくなったかという現実をよく表している。

 一方で、サウジは(アラブ首…

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