[PR]

 かつて校舎建て替え用の資材として植えられた木々。その後、時間とともに忘れられ放置されていたが、いま姿を変え、子どもたちのもとへ――。そんな数奇な運命をたどったベンチが3日、佐賀県上峰町の町立上峰中学校と上峰小学校に寄贈された。

     ◇

 木々は同町の鎮西山にあった。「学校林」として、木造校舎の建て替えに備えて当時の上峰村が設けた。1940年に約8千平方メートルに杉やヒノキを植樹したという記録が残っている。当初は児童・生徒らが下草刈りなどの手入れをしていたが、近年は放置されたままだったという。

 学校林の存在を知った佐藤木材(神埼市脊振町)の佐藤英(ひでる)社長。「山村の学校なら珍しくないが、平地にある上峰小・中学校に学校林があるとは驚いた。それを生かさない手はない」と、間伐材でベンチをつくることを町に持ちかけた。

 杉材のベンチは長さ190センチ、高さ40~45センチ。幅は材木の太さ次第でまちまち、という手作り感あふれるものだ。16脚が作りかけの白木のままで贈られた。来月以降に中学校の生徒らが防腐剤やニスを塗って仕上げ、両校の屋外で使われる予定という。

 上峰中2年の上種咲馬(かみたねしょうま)さんは、昨年11月25日に学校林であった間伐作業の見学にも参加した。そのときに佐藤社長が発した「樹木はその年にあった出来事を年輪に刻む」という言葉が印象に残っているという。「学校で大切に使わせてもらい、私たち生徒の成長を刻むベンチにしていきたい」と話した。

 佐藤社長は「間伐材のベンチは生きた教材。山林が手入れが行き届かずに放置され、せっかくの資源が生かされていないことに子どもたちが気づき、行動を起こすきっかけになれば」と話している。(大野博)

関連ニュース