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 【北海道】新型コロナウイルスの影響で休校となった子どもの世話をするため、仕事を休まざるを得なかった保護者らが、国の賃金補償制度に不備があるとして声を上げた。この制度では勤め先の企業が申請することになっているが、企業が申請を拒んだり、制度をよく知らなかったりして活用できていないケースが多いという。問題を受け、国も制度の見直しに動いた。

 制度の不備を訴えたのは、札幌市や関東地方の小学生や園児の保護者ら20人でつくるグループ「#子育て緊急事態アクション」。昨年末に発足した。

 昨年2月末、新型コロナの感染拡大防止のために安倍政権(当時)が一斉休校を打ち出し、家にいる子どもの世話をするため仕事を休まざるを得なくなる人が続出した。政府は保護者向けに「小学校休業等対応助成金」を新設。子どもの世話のために休む従業員に特別休暇を与えた企業に、1人あたり1日上限1万5千円を支払うことにした。

 ただ申請は企業の判断で行うため、保護者が助成を受けられないケースがあるという。フリーランス向けの支援金も含め計1719億円が予算措置されたが、これまでの支給額は457億円だ。

企業が申請拒否、その訳は…

 制度の見直しを求めるグループの発起人の一人で、札幌市内で共働きをしながら長男(7)と長女(3)を育てる田中小夏さん(28)は昨年2~3月、子どもが通う学校の休校で当時勤めていたアパレル会社を休んだ。この間の月収は3万円にまで落ち込んだ。

 勤務先に国の助成制度の申請を求めたが、休まず働いていた社員から「不公平」との声が出ているとして、拒否されたという。その後も交渉を続けているが、今も申請はされていないという。

 休校が明けてから時間がたった今、活動を始めるのは「今さらと思われ、批判されるのでは」と不安もあった。それでも、「助成金を使えなくて、声をあげられなかった人が周りにもいた。声をあげやすい環境をつくりたかった」という。

 多くの保護者らとともに活動するため、政府の一斉休校要請から1年ほどたった3月1日、「子育て緊急事態宣言」と題したツイッターデモを始めた。

 ツイッター上で、「#子育て緊急事態宣言」のハッシュタグのついた投稿を5千件集めることを目標に掲げ、3倍の約1万5千件の投稿が集まった。「子育ては、自己責任じゃない」「こんな時くらい補償は必須」。コロナ禍で子育てを続ける親や支援者、自民党の稲田朋美衆院議員らもメッセージを寄せた。田中さんは「休校だけでなくて、子育ての大変さを書いた文章もあってうれしかった。せっかく集まった声なので、子育てしながら働きやすい社会の実現のためにできることを考えていきたい」と話した。こうした声を受け、厚生労働省は助成金の申請を企業だけでなく、個人でもできるように制度を見直す方向となった。

 グループは11日まで、ツイッター上で子育てに関するメッセージ動画を募集している。詳細はウェブサイト(http://sapporo-seinen-u.upper.jp/ec/index.php別ウインドウで開きます)へ。(原田達矢)