石巻の震災伝承交流施設のロゴ、川崎の会社が制作

茂木克信
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 【神奈川】東日本大震災の津波で大きな被害が出た宮城県石巻市門脇(かどのわき)地区に8日、震災の伝承交流施設がオープンする。施設のロゴなど一部のデザインは、川崎市高津区のデザイン制作会社「ノクチ基地」が手がけた。きっかけは、10年前の震災発生直前までさかのぼる。

 この施設は、震災遺構として整備が進む旧門脇小学校の隣接地にできた。名前は「MEET(ミート)門脇」。震災伝承などに取り組む石巻市内の公益社団法人「3・11みらいサポート」が、震災を学びに来た人や地域住民らがつながる場として造った。木造2階建ての屋内では、津波被災者から借りた遺品や避難行動を可視化したプロジェクションマッピング、震災前の南浜・門脇地区の立体模型、壁新聞などを展示。シアタールームや防災学習に使えるスペースもある。

 ロゴの話が動き出したのは昨年10月だった。みらいサポートの理事の伊藤聖子さん(46)が、ノクチ基地の代表でプロデューサーの山本美賢(よしかた)さん(57)に話を持ちかけた。2人は震災のひと月ほど前、共通の知人を介してSNSで知り合った。当時、伊藤さんは石巻市内の印刷会社に勤めていた。職種が近いことから気が合い、親しくなった。

 まもなく震災が起きた。伊藤さんの自宅は津波を免れたが、沿岸部の被害は甚大だった。そんなとき、山本さんからメッセージが届いた。「不足しているものはない? こっちでできるだけ集めて送るから」。その言葉通り、数日後には子ども向けの衣類や毛布、大人向けの肌着などを積んだトラックがやってきた。その後も、様々な形で支援してもらっている。

 もう一つ、山本さんに頼んだ理由がある。ノクチ基地のメンバーに山崎百香(ももか)さん(30)がいた。山崎さんは震災発生時、美術大の学生だった。学生の時は夏休みや授業の合間に石巻市へ行き、がれき撤去などのボランティアに参加。卒業後は1年半ほど住み、仲間と石巻駅近くで飲食店「日和キッチン」=既に閉店=を出店・運営したり、復興支援団体のロゴを作ったりした。伊藤さんはこの店で、山崎さんと知り合った。「MEET門脇」の看板でもあるロゴは、震災後の空気感や地域の営みを知る人に作ってほしかった。

 山崎さんは2カ月かけて二つのロゴを仕上げた。伊藤さんの依頼で、震災伝承の根本にある「3・11」をそれぞれに配置した。色合いは、地元の中学校を思い起こさせる緑をベースにした。横長の方は「E」の字を向き合わせた。伝承する人の姿を表している。

 石巻の人との交流について、山本さんは「被災地支援から始まったが、逆に学びも多く、今では人生で欠かせない友人となった」と言う。山崎さんも「家族のような人たちの手伝いができてうれしい」と話す。

 コロナ禍のため、8日のオープン式典は、山本さんと山崎さんは参加を見送った。でも、感染が落ち着いたら、見学に行くと決めている。懐かしい人たちに会うために。

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 みらいサポートは、「MEET門脇」への寄付を募っている。詳細はホームページ(https://311support.com/learn311/meetkadonowaki別ウインドウで開きます)で。(茂木克信)