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 【千葉】3日夜、首都圏1都3県での緊急事態宣言の延長方針を急転直下で表明した菅義偉首相。その背景には、首相の盟友を自負する森田健作知事との「調整」があったとみられる。

 森田知事は2月26日、「延長は頭にない」と語っていた。だが、今月1日には「百人を超える状況が続けば解除は難しい」、3日には「何としても延長してほしい」と転換していた。

 森田知事は4日、記者団に「(首相と)連絡をとり、千葉県の窮状をお話しした」と明かした。元々2人は頻繁に電話をする仲。県幹部によると、森田知事が延長に傾き始めた1日ごろにも、2度ほど電話をしていたという。

「後手」回避のために

 1月の宣言発出では、東京都の小池百合子知事に主導権をとられ、首相も森田知事も「後手後手」と批判された経緯がある。

 3月3日の4都県知事テレビ会議の直前、森田知事と首相は電話で延長の必要性を確認したという。会議は、森田知事が「直接(国に)要望に行く必要はない」と主張するなど、結論を出せずに終了。この直後、首相は延長表明し、「後手」という印象の回避を図った。

 森田知事は今後、延長の成果を問われることになる。県内の直近の1日あたりの新規感染者数は百人の壁に直面し、人口10万人あたりの療養者数は24人と4都県で最悪だ。

 森田知事は4日、延長の期間をめぐり「上がるか下がるか、方向性が出てくるので、2週間は妥当だと思う」と述べた。解除に向けては「飲食店の営業時間も1時間延ばすなど、段階的であってもいい」という考えを示した。

 千葉大病院の横手幸太郎病院長は「今は完全に下げ止まった状況で解除すれば必ず再拡大する。延長しても行動を変えないと、感染が減るかわからない。南半球を見ると、季節が変われば減るとも言い切れない。会食自粛だけでなく、より細かな行動のメリハリが必要な時期になってきている」と語る。(今泉奏)

「ぐっと我慢するしかない」

 「宣言延長」を聞いた県民の思いは様々だ。

 「すでに厳しい状態なのに」。千葉市の飲食店「牛バルこじまや千葉店」の従業員山口夏歩さん(28)はため息をつく。

 テイクアウト販売も続けるが、1日の売り上げはわずか数千円。1日6万円の協力金では従来の売り上げに到底届かず、送別会シーズンの今月も来客は見込めなくなった。「ダラダラ延長しても状況が変わるとは思えない。(飲食以外の)全般的な業種で営業の制限をかけるべきだ」

 木更津市の女子大学生(20)は「リモート授業がまた延びてしまう」と心配する。オンライン授業が続き、友人と久しく会えていない。「友人とは『宣言解除で通常のキャンパスライフがやっと送れる』と話したばかりなのに」と落胆していた。

 今後2週間程度で、桜や菜の花が見頃を迎えるいすみ市。例年なら多くの客が見込める旅館経営の男性(59)は「3度目(の緊急事態宣言)はあり得ないから、ぐっと我慢するしかない。また感染者が増えたら、これまでの我慢がなんの意味もなくなる」。飲食店のような協力金はない。つらい立場もにじんだ。

 勝浦市では、2月下旬~3月初旬の集客の要の「かつうらビッグひな祭り」の2年連続中止が既に決まっている。市観光協会の渡辺幸男会長(77)=旅館業=は「だれを責めることもできないが、この2週間で終わりにしてほしい」。江沢修副会長(71)=民宿=は「まだ元気な伝統の朝市を中心に、少しでも活気を取り戻したい」と話した。(石垣明真、佐藤瑞季、稲田博一)