【動画】ガソリンカーの実寸大模型。大学生らが車体の飾り付けをつくっている=木下広大撮影
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 【香川】昭和初期に高松市の旧塩江(しおのえ)町へ温泉客を運び、わずか12年で廃線になった塩江温泉鉄道。消滅した鉄路を走っていた「ガソリンカー」を復活させ、町おこしに生かそうと、地元の住民や大学生が模型作りに取り組んでいる。このほど、往時をほうふつとさせる緑色に塗られた実寸大の模型が地元でお披露目された。

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 ガソリンカーは1929(昭和4)年、仏生山(ぶっしょうざん)―塩江間の約16キロを走る観光鉄道として開通した。ガソリンを燃料とし、塩江温泉郷へ向かう観光客や住民の足として活躍した。戦時色が濃くなる中、経営が悪化し、41年に廃線となった。

 今年でそれから80年。2月末、塩江町上西地区の体育館に地元の住民が集まった。披露されたのはかつてこの町を走っていたガソリンカーの模型だ。大きさは長さ約8メートル、幅約2メートル。木板などを組み合わせ、当時の車両とほぼ同じサイズで再現した。

 模型の隣では、香川大創造工学部の学生らが、古い写真や資料を見ながら神社や旅館など塩江の名所を描いた。すでに取り壊された建物もあり、お年寄りに実物の色をたずねるなどして細部を描き込んだ。

 立ち寄った人々は、絵の上に、人のシルエットのスタンプを押して彩った。住民の写真を人の形に切り抜いて作ったものだ。できあがった絵は模型の外装として取り付けるという。

 プロジェクトの中心になったのは、元塩江町地域おこし協力隊員の村山淳さん(31)だ。協力隊員だった2018年から香川大や香川高専の学生、地元住民を巻き込んで塩江温泉鉄道の記録や資料を集めた。19年には車体の骨組みを復元し、企画展も開いた。

 協力隊員の任期を終えると、町おこしを担う一般社団法人トピカを立ち上げ、模型を実物に近づけようと活動を続けている。

 村山さんは「幻の鉄道だったガソリンカーを歴史遺産として調査し、観光資源として人を呼べるようにしていきたい」と話した。

 今後は屋根などを取り付けて元の姿を復活させる。かつて走っていた遺構のトンネル跡で展示するイベントの開催も目指している。(木下広大)

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