緊急事態下の論戦スタート 千葉知事選に最多の新顔8人

古賀大己
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 12年ぶりに知事が交代する千葉県知事選が4日告示され、いずれも新顔で過去最多となる8人が立候補を届け出た。緊急事態宣言下の異例の選挙戦。各陣営は早速、県内各地に足を運び、新型コロナウイルス対策や災害対策、道路整備などを、有権者に訴えた。投開票日は21日で、千葉市長選(7日告示)とダブル選となる。

 立候補を届け出たのは届け出順で、前千葉市長の熊谷俊人氏(43)、政治団体代表の後藤輝樹氏(38)、医師の加藤健一郎氏(71)、元予備校講師の金光理恵氏(57)、元県立高校長の皆川真一郎氏(66)、前自民党県議の関政幸氏(41)、政党党首の平塚正幸氏(39)、人材派遣会社長の河合悠祐氏(40)。

 3期12年務めた森田健作知事は立候補せず、今期で退く。自民が推薦する関氏と、立憲民主党県連が支援する熊谷氏を軸に選挙戦が展開されそうだ。共産党は金光氏を推薦している。

 感染症対策を徹底することで、各陣営は大規模集会などができず、選挙活動に大きな影響が出るうえ、感染を恐れ、有権者が投票所へ足を運ばない事態も考えられる。このため、投票所では、手や筆記用具の消毒を徹底し、記載台も一つおきに使う。

 期日前投票所を前回から約20カ所増やし、183カ所とした。県選管担当者は「『密』を避けるため、期日前投票を積極的に使ってほしい。安心して投票に行ってほしい」と呼びかけている。

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 関氏の立候補で、県議職は失職となり、県議会は1人欠員となる。会派構成は以下の通り。自民党県議会(52人)▽立憲民主・千葉民主の会(17人)▽公明党県議団(8人)▽千翔会(3人)▽日本共産党県議団(2人)▽平和の党、社民党千葉県民の声、市民ネットワーク、リベラル民主(各1人)▽無所属(6人)。

 有権者からはコロナ禍を反映した声が上がった。

 空港関連企業で働く成田市の会社員、高山健一さん(59)は、外国人観光客の姿をほとんど見かけなくなり、空港や周辺ホテルはガラガラの状態という。「正社員以外の人は仕事が減って大変だ。新しい知事には雇用の問題に力を入れてほしい」と期待する。

 千葉市花見川区に住む医療事務の女性(29)は、「経済的な理由で受診を控える患者がいるのはおかしい。医師を増やしてほしい」。東京五輪パラリンピック大会組織委員会の森喜朗元会長の女性蔑視発言に触れ、「馬鹿にしている。いろんな背景がある一人ひとりに関心を払える人にリーダーを任せたい」と語った。

 市川市に住む元大学職員の石井伸夫さんは年金の受給額が減り、将来に不安を覚えている。「誰でもいいが、お金がなくても楽しく生活できる世の中にしてほしい」と話す。

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 新型コロナウイルスを終息させ、経済を立て直す。その陣頭指揮を誰に託すのかを決める重要な選挙だ。

 一昨年9月、房総半島台風が襲来した時、県内は大規模な家屋損壊と停電に見舞われた。県庁は地域防災計画を顧みず、職員や物資の派遣が遅れた。市町村との連携不足も露呈し、危機意識の欠如が、県民の信頼を大きく損ねた。

 そして、昨年から続く新型コロナの猛威。宿泊業や観光業の痛手は日々深まり、医療現場の負担は重い。終息の見通しは立たず、先の見えない苦境に、みなが立たされている。

 新しい知事には、県庁組織の緩みを引き締め、市町村と連携し、県民の命を守る最前線に立つ覚悟が強く求められている。

 緊急事態宣言の延長方針で、21日の投開票まで選挙活動は大きく制限され、投票率が下がる可能性がある。有権者はいつにも増して候補者の声に耳を澄まし、一票を投じてほしい。(古賀大己)