塩谷耕吾
「やっぱり、柔道がしたいな」
1年間の浪人生活を経て関東の大学に合格したタカシ(仮名)は体育会柔道部の道場へ見学に行った。
熱気のある稽古を見てレベルの高さにかすかな興奮を覚えた半面、胸の内に重たい感情がわき上がった。
「勝利を求められたり、責任が伴ったりする柔道は、もうしたくない」
タカシは結局、この大学の柔道サークルに入る。
そして、あることに気づいた。
「サークルには、自分と同じように柔道で傷ついた仲間が何人かいた。もしかしたら、自分が経験したことは、よくある『構造的な問題』なのかもしれない」
中部地方出身のタカシは、小学1年生の時、地元の柔道場に通い始めた。
練習は週3回。あまり強い道場ではなかった。みんなでよく山登りやバーベキューに行った。
「アットホームで楽しい道場だった」
4年生の時、他県から引っ越してきた同級生が入門してきた。最初は同じくらいの実力だったのに、一緒に練習していくうちに彼はメキメキと頭角を現した。
その成長を見つめる道場の先生…
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