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 取引や開発を妨げる所有者不明の土地を増やさないようにするための法制の見直し案が5日、閣議決定された。法改正で相続や住所変更時の登記を義務づけて違反に過料を科し、所有権の国庫への帰属を可能にする新法をつくる。土地の円滑な活用を図る法改正も盛り込まれた。政府は今国会での成立を目指す。

 法務省によると、土地一筆ごとを対象にした地籍調査で所有者がわからない土地は全国の2割超に上り、その約66%で相続が、約34%で住所変更が登記されていなかった。見直し案では、不動産登記法を改正し、土地を所有者から取得した相続人に対し、取得を知った日から3年以内の相続登記の申請を義務化。違反への罰則として行政罰である10万円以下の過料を設けた。所有者の転居に伴う住所変更などの際には、2年以内の変更登記の申請を義務づけ、罰則は5万円以下の過料とした。

 また、望まない相続により土地が放置されるのを防ぐため、新法「相続土地国庫帰属法」で、相続人が取得した土地を手放せる制度を規定した。建物や土壌汚染がなく、担保が設定されていないなどの要件を満たせば、10年分の管理費相当額を納付のうえで、所有権を国庫に帰属させられるようにする。額は用途や面積、周辺環境などに応じて政令で今後定める。国有地の標準的な10年分の管理費は原野で約20万円、宅地(200平方メートル)で約80万円という。

 民法も改正し、所有者不明の土地の活用策を定めた。複数の人が共有する土地で一部の共有者が不明の場合、相当額の供託により不明者の持ち分の取得・売却を可能に。不明者への公告を経れば残る共有者の同意で土地を利用できるようにもすることなどが盛り込まれた。(伊藤和也)