手放せないランドセル 避難した北の大地は温かかった

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芳垣文子
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 福島県南相馬市に住む吉田篤さん(53)一家は、妻和美さん(50)と長女裕葵(ゆうき)さん(19)、次女琴絵さん(18)、三女紫温(しおん)さん(16)の5人家族。自宅のたんすの上には、一家にとって忘れられないランドセルがしまってある。

 震災前は、福島第一原発から20キロ圏内の福島県南相馬市で暮らしていた。篤さんは会社勤めで、両親が農業を営んでいた。自宅で作るコメや野菜、篤さんが趣味で釣ってくる魚が食卓に上り、食材はほとんど買うことがなかった。

 そんな暮らしが原発事故で一変した。篤さんの勤務先の工場がある北海道岩見沢市に転勤の形で避難することになり、北海道での暮らしが始まった。三女の紫温さんは小学校入学の直前だった。新品のランドセルはかろうじて持ってこられたが、学校から上履きのまま避難した裕葵さんと琴絵さんのランドセルは、学校に残したままだった。

 2011年4月、紫温さんは…

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