「避難指示遅れて被曝」福島県民29人が国と東電を提訴

新屋絵理
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 避難指示が遅れたため被曝(ひばく)した――。2011年3月の東京電力福島第一原発事故をめぐり、福島県飯舘村の住民29人が5日、国と東電に計約2億円の賠償を求め東京地裁に提訴した。

 福島第一原発の事故後、原発20キロ圏内の住民には避難指示が出たが、20キロ圏外の飯舘村は対象外だった。同村には事故直後の風向きなどの影響で多くの放射性物質が運ばれたが、政府は事故1カ月後の4月まで同村に避難方針を打ち出さなかった。

 原告らは訴状で「高線量だと正しく知らされていれば、早期に避難でき被曝しなかった」と指摘し、国や東電の対応不備を訴えている。

 この日の会見で、飯舘村から福島市に移り住んだ原告の菅野哲(ひろし)さん(72)は「健康不安をずっと持っている」としたうえで、「けじめをつけないと死んでも死にきれない。福島の現状を広く国民にわかってほしくて東京地裁に提訴した」と話した。国は「コメントは控える」。東電は「真摯(しんし)に対応する」とした。

 原告を含む約3千人は2014年、被曝への慰謝料などを求めて国の原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)に申し立てたが、東電が和解を拒否し打ち切りになっている。(新屋絵理)