第8回故郷のコメ、なぜ食べるのか?唯一無二の「絆」確かめる

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大内悟史
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 福島県いわき市の実家に住む父の大内義洋(よしひろ)(78)がつけていたメモが手元にあります。

 「1キロあたり3ベクレル

 原発事故の翌年2012年秋に収穫した新米(玄米)の放射線量値でした。父が高性能測定器がある実家近くの施設に持ち込んで、1検体を数時間かけてじっくり測ってもらった結果でした。

 同じ時期に測った天然のイッポンシメジは1キロあたり47ベクレル。キノコ類の一部には、測定結果が高く出る傾向があるようでした。

 3ベクレルという数字を聞いたとき、ぼくは「昨季はゼロだったのに」と思いながら、正直、驚いていました。「3ベクレルまで測れるんだ」

 測定する機器の性能や1検体の量や測定する時間により、検出限界値は変わります。測定に時間をかければ小さな値まで分かり、測定誤差も小さくなります。昨季の「ゼロ」というのは、正しく言えば「1キロ20~30ベクレルの検出限界値以下」という意味だったのです。

 福島県内で続いている「コープふくしま」の陰膳(かげぜん)調査は、検出限界1ベクレルを目指し、1検体に10時間以上をかけています。陰膳調査では、一般家庭から個人の食事を集め、実態に最も近い形で測定しています。

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 実家の半壊や祖母の震災関連死。放射能の数値。そして両親は70歳代に――。東日本大震災の被災地である福島県いわき市に生まれ育った47歳の記者が、この10年間に故郷の農村と家族の身の回りに起きた出来事を、10回にわたってつづります。

 実家でも、幸いにもそうした…

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