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 登山の安全対策の第一歩は「登山計画書」の作成です。登る山を選び、季節やコース、メンバー、緊急連絡先などを記入します。初めて登る山は地図や過去の登山記録などを参考にしますが、最近、ネットでルートやコースタイムなどの山行記録を公開する登山者が増えています。参考になるのはルート上の写真。地図だけではわかりにくい状況を確認できるからです。

 記者はネットで見つけた記録を参考に、八ケ岳連峰の蓼科山(2531メートル)に2月上旬、四季を通じて初めて登りました。

 蓼科山は八ケ岳連峰の最北端にそびえ、諏訪側から望む美しい円錐(えんすい)形の山容は「諏訪富士」とも呼ばれています。首都圏から近い日本百名山でもあり、人気の山です。北アルプスなどと違って冬場も積雪が少なめで、週末は大勢の登山者でにぎわっています。

 今回利用したのは、長野県松本市の「ヤマレコ」が運営するウェブサイト「ヤマレコ」です。登山者が投稿した日程、メンバー、天候、アクセス、地図・標高グラフ、コースタイムなどが無料で公開されています。特に、コースタイムは到着時刻、通過点の地名、出発時刻が記入され、地図と照合しながら歩くと参考になります。

 ヤマレコの的場一峰社長(43)は「個人の山行記録を共有し、危険箇所などを明示することが安全登山につながります。手軽に山行記録を残せることがポイントです」と説明します。スマートフォンに内蔵のGPS機能を使い、自動的に通過地点や時刻が地図上に残ります。写真もスマホで撮影して記録します。

 的場さんは大阪大学ワンダーフォーゲル部出身。卒業後、所属した社会人山岳会の会報に山行記録を掲載する際、「ネットを使って簡単に作成はできないだろうか」と考え、2005年から個人的なサイトを立ち上げました。このアイデアをもとに、13年にヤマレコを創業し、山行記録をビジネスにしました。

 記者は蓼科山登山の前に、5万分の1の地図で地形をこう推測しました。「登山口からしばらくは平坦(へいたん)な山道を歩き、最初の急な登りが出てくる。そして少し緩やかになり、2番目の急登。登り切って左にしばらく緩い樹林帯の登山道が続き、頂上直下の長くて急な登りになる」。ただ、5万分の1の地図では、登山口から山頂まで直線距離で約5センチ。細かい地形までは確認できません。

 ヤマレコの山行記録はスマホでも見られますが、天気が悪いと出し入れが面倒なので、印刷した記録を折りたたんでポケットに入れました。記録ではポイントごとに写真があり、樹林の中の登山道、その場所からの眺望などがわかります。ルートはほぼ記者の推測通りでしたが、参考になる画像が多いと感じました。

 「山頂台地中央には蓼科神社があります」との紹介もありました。到着まで「?????」でしたが、登頂して謎が解けました。地元の立科町ホームページによると、蓼科山は「二重式火山で、岩塊に埋め尽くされた山頂は円形で直径約100メートル。わずかに噴火口跡がくぼみ、くぼみには蓼科神社奥宮の石祠(ほこら)が祀(まつ)られています」。この地形は現地に行かないと実感できません。ネット情報を利用する登山は、謎解きの楽しみさえありました。

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