豚生産を安定、家は住むもの…全人代で見えた中国の世相

北京=平井良和
[PR]

 「食糧節約キャンペーンを展開」「家は住むためのもの」――。5日に始まった中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で発表された政府の活動報告には、中国の世相を反映する言葉が並んだ。

 政府の重点政策の中で、食べ物の問題が大きく採り上げられた。その一つが「豚の生産の安定」。2018年から養豚農家を苦しめるアフリカ豚熱(ASF)がこの冬も各地で散発し、ギョーザや豚の角煮など食卓に欠かせない豚肉の価格は不安定化している。

 「食糧節約キャンペーンを展開する」政策は、米国との通商紛争で、食糧安全保障が大きな課題となっていることが意識されている。「食べ残しは、おなかいっぱいもてなしてもらったという意思表示」と考える伝統もあり、中国科学院などが18年に発表した調査結果では「都市部だけで年間約3千万~5千万人分の食事量に相当する食べ残しがある」とされていた。

 活動報告には「住宅は住むためのもので、投機のためのものではない」と戒める文言も盛り込まれた。富裕層が投機目的で不動産を買う動きが収まらず、都市部のマンションは若年層には手が出ないほど高騰。活動報告は「新市民や若者が抱える住宅難の解消に最善を尽くす」とした。

 「匠(たくみ)の精神を発揚し、職人技によって中国製造の品質を向上させる」。経済成長の伸びが鈍化する中、大規模な工場での大量生産を得意としてきた中国の製造業では「量から質」への転換が模索されている。大企業と中小企業の連携を促し、「品質向上キャンペーンを踏み込んで実施する」という。

 25年までの「第14次5カ年計画」の中には、国民の寿命について「全国民健康増進運動を幅広く展開し、平均寿命をさらに1歳延ばす」との数値目標も。中国では、健康ブームも起きており、「高齢者と子どもを重点とするサービスを充実させる」とされている。国家衛生健康委員会によると、中国の平均寿命は16年から19年の間の4年間で1歳延び、19年末時点で77・3歳だったという。(北京=平井良和)