[PR]

 菅義偉首相は6日、東日本大震災の発生から11日で10年を迎えるのを前に、福島県を訪れ、東京電力福島第一原発が立地する大熊町や双葉町を視察した。原発敷地内にたまり続けている処理済み汚染水の処分方針について記者団から問われたが、「いつまでも先送りすべきでない」と述べたものの、「適切な時期に政府が責任を持って処分方針を決定したい」と述べるにとどめ、これまでと同じく具体的な言及は避けた。

特集企画「海からみた被災地」
東日本大震災による津波は、陸地だけでなく海の中にも大きな被害をもたらした。大量のがれき、失われた漁場……。あれから間もなく10年。豊かな海はどう変わったのか。震災3カ月後から継続的に被災地の海を潜水取材してきた朝日新聞フォトグラファーたちが報告する。

 今後の復興について、首相は「国がしっかり責任もって取り組んでいきたい。そういう思いだ」と語った。最大震度6強を記録した先月の福島県沖を震源とする地震の被災者支援策をとりまとめたこともアピールした。浪江町(なみえまち)を「なみえちょう」と言い間違え、秘書官から紙を差し出されて訂正する場面もあった。

 首相としての福島訪問は、昨年9月の就任直後に続き、2回目。一部の地域で昨年、「帰還困難区域」の避難指示が解除された双葉町のJR双葉駅周辺を見て回ったほか、浪江町の「道の駅なみえ」で、町内に戻った人や移住した人らと懇談した。

 震災時に理容店を営み、一時避難して国会の議員会館で働いていたという南相馬市の五十嵐理枝子さん(57)は、首相を散髪したエピソードを披露。「政治のことも全く分からず、髪を切っていた。そんなに偉くなる人だとわからなかった」と振り返ると、首相が「思ってくれなかったんだ」と応じ、笑いがおこった。(小野太郎)