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(7日、高校野球練習試合 奈良・智弁学園6―4大阪・関大北陽)

 主砲が悩んでいる。

 甘い球に手が出ないこともあれば、振りにいっても芯に当たらない。「絶不調っす」。声にも元気がなかった。

 19日に開幕する第93回選抜大会の優勝候補に挙げられる智弁学園の3番打者・前川右京(2年)。高校通算30本塁打を放つ左打者は、昨秋の近畿大会優勝の立役者だが、一冬を越えてなかなか快音が響いてこない。

 今季の高校野球の対外試合は6日に解禁されたばかり。7日の関大北陽戦にはプロ3球団のスカウトも視察に訪れた。だが、アピールできない。第1打席は二邪飛、四球を挟んで第3打席は三飛。打ち損じて本来の打撃ができず、見かねた小坂将商(まさあき)監督から「力んで体の開きが早くなっとるわ」。試合中のベンチ前で指導を受けた。

 「きっかけをつかみたい」と七回の第4打席は、好調のチームメートのバットを持って打席へ。思い悩んだ末の窮余の策の効果か、ふだんよりも軽いバットで中前適時打を放った。それでも「やっぱり自分のバットで打たないと」と不満が残る。控え選手中心だった2試合目にも志願して出場したものの、安打を打てずに途中交代すると、ベンチ横で素振りを繰り返した。

 選抜の1回戦は3年ぶりの春の王座を狙う大阪桐蔭が相手。昨秋の近畿大会決勝と同じ顔合わせだ。前川は1年夏から甲子園を経験し、責任感は強い。「選抜までに必ず状態を上げる。僕が打って勝利に貢献したい」。そう言ってまたバットを握るその手は、マメだらけだった。(山口裕起)