拡大する写真・図版人々の記憶から姉が消えていっても「私の中ではずっと生きている」と話す佐藤珠莉さん(右)。奥は母の美香さん=2021年2月12日、宮城県石巻市、小玉重隆撮影

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 コロナ禍が広がり、全国の学校が一斉に臨時休校した1年前。宮城県石巻市の中学1年、佐藤珠莉(じゅり)さん(13)は物語を書いた。

 中学生の「莉子」の前に、白い花を持った妖精が現れる筋書きだ。

 「この花は魔法のお花なの。あなたの願いを叶(かな)えてくれるわ。ただし、願いが叶うのは3回だけ」

特集「生きる、未来へ 東日本大震災10年」
 3月11日、発生から10年となる東日本大震災。愛する人を失った悲しみ、住み慣れた土地に戻れない苦しさ……。さまざまな思いを抱え、歩んできた3家族を通して、被災地のこれまでを振り返る。

 莉子は3歳のとき、6歳の姉を病気で亡くした。「姉と会いたい」。一つ目の願いごとをすると、両親からは見えないパジャマ姿の姉が現れた――。

 「莉子」は、珠莉さん自身だ。ただ、三つ上の姉の愛梨さんが亡くなったのは病気ではない。東日本大震災で、揺れの後に幼稚園の送迎バスに乗り、海寄りの門脇町で津波にのまれて、火災に遭った。母の美香さん(46)が3日後、黒こげのバスの脇で見つけた。

 《最大の被災地だった石巻市では4千人近くが犠牲になった》

 大好きな姉だった。津波の前日…

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