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 クーデターで権力を握った国軍と、抗議デモの参加者の衝突が続くミャンマー。最大都市ヤンゴンの非政府組織(NGO)で働く政治学者パウシアンリアンさん(33)がオンラインで取材に応じ、現地の状況を克明に語った。「ミャンマーの民主化に国際社会の支援をお願いしたい」と呼びかけている。

 ヤンゴン中心街にほど近いリアンさんの自宅には連日、デモ参加者の大声と発砲音が聞こえてくる。6日も治安部隊が、音と光で威嚇するスタングレネード(音響閃光(せんこう)弾)と催涙弾をデモ隊に放ち、住民らが水をまいて薬剤を洗い流していた。

 ヤンゴンなど6都市で18人が死亡したと伝えられた2月28日のデモにはリアンさんも参加。催涙ガスを浴び、焼けるような痛みを目や皮膚に感じたという。催涙弾から逃げ惑う参加者らと住宅街のアパートに避難した。住民らがかくまい、飲み物を振る舞ってくれた。

 「まるで本物の戦場でした」。増え続ける犠牲者に胸を痛めながら、研究者仲間と抗議活動を支援する方法を模索している。

 ミャンマーでは1988年の民主化運動や、2007年の反軍政デモがいずれも国軍側に武力鎮圧された。だが、11年に民政移管が実現し、国軍は15年の総選挙で勝利したアウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)に権力を移譲していた。

 リアンさんは14年に早稲田大学大学院に留学し、比較政治学を研究。19年に博士号を取得して帰国した。

 現在は、NGO「統合社会開発イニシアチブ」(ISDI)で働きながら、民主的な社会の実現をめざし、市民向けの講演会や勉強会を開催。国会議員や官僚、市民らと社会開発の提言もまとめてきた。

 「早稲田で平和に勉強していたころと比べると、今ミャンマーで起きていることは衝撃的なことばかり」とリアンさん。「東京では深夜に図書館から一人で安心して帰宅していました。今は、懐中電灯と護身用の棒を持ち、国軍の関係者から襲撃を受けないよう、午後8時前には家に帰っています」。ヤンゴンの雑貨店では懐中電灯の売り切れが相次いでいるという。

    ◇

 リアンさんは1987年、少数民族のチン族が多く暮らすミャンマー北西部チン州の町で、牧師の家庭に生まれた。リアンさんによると、チン族の9割はキリスト教徒だという。

 ミャンマーには公式に135の民族がいるとされ、ビルマ族が約7割を占める。人口の約9割が仏教徒で、チン族は民族、宗教のいずれも少数派だ。「チン州は政府に見捨てられた地域です。これまで開発資金が十分に提供されませんでした」とリアンさん。ミャンマー全体の貧困率が25%程度のところ、チン州は70%を超えるという。

 90~2000年代、故郷の町…

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