貴族は美を楽しみ倒す 豪華で身近な侯爵家コレクション

田中ゑれ奈
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 オーストリア西隣に位置する小豆島サイズの小国にして、世界で唯一、君主の家名を国名に冠するリヒテンシュタイン侯国。富と情熱を美術品収集に注ぐ侯爵家の個人コレクションの一端を、大阪市あべのハルカス美術館(06・4399・9050)で見ることができる。

 領地経営で得た財力を背景とした侯爵家の収集は、第2次世界大戦後の売却と近年の新規購入事業を経て、今も続く。世界最大級のルーベンス・コレクションで知られるが、今展ではより身近な油彩画の小品や陶磁器が並ぶ。

 ズッカレッリ「侍女と猟犬をともなうディアナ」は、貴重な制作当時のしつらえも見どころだ。狩猟の女神を描いた絵画の主題にあわせて、獲物や猟犬などのモチーフが立体的に彫られた額縁は、売れっ子だった制作者セフェリン・アルケンによるもの。その豪華さは、本体をしのぐほどに目を引く。

 侯爵家はウィーン磁器製作所に食器セットを盛んに発注する一方、中国や日本の陶磁器装飾品として愛好した。当時の西洋では景徳鎮や有田といった東洋の古陶磁に華やかな金具を付け加え、シャンデリアやポプリ入れなどに用途を変えることが流行。和洋折衷の少しキッチュなたたずまいからは、美術品をアクティブに楽しむ貴族たちの暮らしが垣間見える。

 28日まで、一般1500円など。(田中ゑれ奈)