女性初の駐日英大使就任へ 日英のジェンダー事情聞いた

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聞き手・鈴木春香
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 英国の外交官、ジュリア・ロングボトム氏は、160年を超す日英両国の外交関係の中で、女性として初めて駐日大使に任命された。英国では女性を大使に任命する例が増え、米国や国連などに駐在する主要なポストも女性が務めている。過去には2人の女性首相がおり、議会の女性比率も3割を超える英国。女性の社会進出において先進的だが、ロングボトム氏によれば、元々そうだったわけではないという。日英双方をよく知る同氏に、経験を交えながら女性をめぐる両国の状況を聞いた。

――過去2回、外交官として日本に勤務していましたね。当時の経験を通じ、日本の女性の社会的地位についてどんな印象を持っていますか。

 最初に日本に赴任した1990年当時、とても驚いたことがあります。私の仕事は、議員や記者に会い、人脈を作ることでした。そのような政治分野の仕事をする中で、私自身は何の障壁も問題も感じませんでした。ところが、日本の女性には私のような役割を担うことが想定されていないようでした。

 日本の記者たちと飲み会に行った時のことです。出席した記者たちは全員が男性でした。政治を報道する記者にどうして女性がいないのかという話になると、彼らはこう言いました。「勤務時間が長いし、夜は飲み会に行って、また会社に戻って夜遅くまで働かないといけない。そんな仕事は女性には無理。だって家のことや子どもたちの面倒を見ないといけないから」

 私はたいていこう言いました。「でもそれって、みんなに良くないと思う」。男性にも女性にももっとバランスが取れたやり方にどうして変えないの?と思っていました。

 こうした考えは今もまだそれほど変わっていないのではないかと思います。ワーク・ライフ・バランスの理念と、家事をやるのは女性という前提を変える思考が男女に共有されない限り、状況が変わるのは難しいと思います。

――日本は世界経済フォーラムの男女平等ランキングで153カ国中121位と、男女平等の観点で遅れが指摘されています。

 私は日本で素晴らしい能力と意欲を持った女性たちにたくさん出会ってきました。才能ある女性の人材が十分生かされていない状況はとても残念に思います。特に世界経済フォーラムのリポート(2020)で指摘されていた、女性が男性に比べて家事や育児といった無償労働に4倍以上多く従事しているという点は大きな壁です。これらが男女ともに担うことだという認識が受け入れられない限り、女性がキャリアを追い求めることはできません。

 2回目に赴任した2012~16年には、男女平等や女性の経済参加について確実に変化を感じましたが、まだなされるべきことがたくさん残っていると思います。

記事後半では、日本が男女平等で特に遅れているとされる政治の分野における日英の違いや、英国外務省の仕事と家庭の両立を支える様々な仕組みについて語ります。

――最近、東京五輪パラリンピック大会組織委員会の会長だった森喜朗氏が女性蔑視発言で辞任しました。一連の事案をどうみていましたか。

 英メディアでもかなり活発に…

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