すがやみつる導いた石ノ森章太郎の教え「人の3倍描け」
インベーダーゲームがはやった1970年代末、超人的な技を持つ少年を主人公にした「ゲームセンターあらし」で一躍その名を知られた、漫画家のすがやみつるさん(70)。50代になってから、大学、大学院で学び、京都精華大学で後進の育成にもあたってきました。若き日に師匠の石ノ森章太郎さんからかけられた言葉を、後にかみしめることになったそうです。どんな言葉だったのでしょう。
71年、20歳で石ノ森さん原作の「仮面ライダー」の漫画化を担当し、デビュー。石ノ森は「アシスタントはたくさんいたが、弟子はすがや一人だけだ」と語っていたという。
「それだけ手をかけたのでしょう。実際、『下手だ』『へぼだ』と言われましたから」
石ノ森からはこうも言われていた。「下手なんだから、人の3倍描け」
敷きっぱなしの布団の上にお膳を置き、描いた
「仮面ライダー」はテレビ放映から間もなく大ブームに。毎月の漫画の連載ページも増え、他に別冊付録で200ページ近く描くこともあった。実際には、人の3倍どころではなかっただろう。「考える間もなく、とにかく完成が求められる状況に投げ込まれたようなものでした」
徹夜続きで、風呂に入る時間もなかった。敷きっぱなしの布団の上にお膳を置いて絵を描き、限界が来たら後ろにひっくり返って眠る日々だった。「締め切りに追われてノイローゼになって、京都まで逃げたこともありましたね」
石ノ森のアドバイスが腑(ふ…
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